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15.仕事をちゃんとしてください⋯⋯。
「仕事をちゃんとしてください⋯⋯転生させるのがあなたの役目です」
頭の中に声がこだまする。
聞いたことがないこの声は神様の声だろう。
私は杉崎美香を異世界に転生させず「無」に返した。
容姿に恵まれ意地悪な彼女が私を中学時代に虐めた女に似ていたからだ。
「ちゃんとやります⋯⋯すみません。人は力を持つとダメですね⋯⋯」
少しの権力を持たせてやると、その人間の本質が分かると聞いたことがある。
私は死んだ人間の行先を決められる権力を持ち、それを自分の思うがままに使い始めていた。
「あなたに異世界カイは務まらないのかもしれません。このまま無に返しましょうか?」
頭に響き渡る声に震え上がる程の恐怖を感じた。
「無」になりたいと願った事もあったのに、ここで死んだ人間に関わるたびに「生」に執着したくなる。
みっともなくても、生きて何かしたいという感情が湧き起こってくる。
刑期は500年なのに、まだ数日しか経っていない事実に絶望する。
「ちゃんと、やりますから⋯⋯どのような方でも自ら神より与えられた命を捨てた私よりは尊い存在だと認識してます」
「無」になるのが怖くて絞り出すように言った言葉と共に、頭の中にこだまする謎の声が消えた。
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