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18.あなたは裁判官にでもなったつもりですか?
「カイ⋯⋯あなたは裁判官にでもなったつもりですか? あなたに権限は与えられています。しかし、あなたがするべき事は異世界転生を案内する事です」
頭の中でまた声がこだまする。
私は人を裁く裁判官になった気などない。
ただ、目の前に現れる人たちが新しい人生を望んでない。
私は未練を残して死んだが、意外にもそうではない人間が多く存在する。
「人を裁いているつもりはありません。私は自分が罪人だと自覚しています。ただ、予想外に死を迎えた人間たちがいて⋯⋯案内人としての役割を自分なりに果たしているだけです⋯⋯」
頭の中にこだまする声に反発するように私は1人呟いた。
この孤独な時間が500年続くらしい。
これは私に課せられた刑罰だから受け入れるしかない。
元々、人と関わるのが得意ではない上に、自分の行いへのダメ出しが毎回される。
(メンタルが既に限界なんだけど⋯⋯)
思えば私の前に「異世界転生案内人カイ」だった人は淡々としていた。
(あれくらいドライでいないと500年持たないわね⋯⋯)
「もう、次の方がいらっしゃってます。次こそは自分の職務に忠実にお願いします」
頭に聞こえた声に私はそっと目を閉じ気持ちを落ち着かせた。
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