第1章 生徒の日記

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私は興味本位で手撫井先生に事故の話を詳しく知りたいと切り出してみる事にしました。 「先生、道徳の時間のH市児童転落事故に興味を持ちまして…ネットで調べたのですが、全然分からなくて。あの、よければで、いいんですけど、もう少し教えてくれたり、とか、」と言葉をつまらせながら言う私に手撫井先生はいつも通り優しい笑顔を私に向け、いいですよ、と言ってくださいました。 その時、私は12歳でした。小学、6年生ですね。実は私、その学校に居たもので、詳しかったんです。そのことを話して色々聞かれたりでもしたら面倒なので伏せていました。ごめんなさいね。そのA君とYちゃんは仲がとても良く、幼馴染でした。しかし、Yちゃんの家はDVや虐待のあるおうちでした。そんな環境に置かれ続けたYちゃんは疲れ果て、解離性同一性障害、いわゆる多重人格になってしまったのです。その中の人格の中に悪い人格が居ました。その人格が弱いものいじめをしていました。その時はA君が幼馴染であることさえも忘れていたようで、A君にまでちょっとしたいじめをしていました。そんなことをしている内に、A君とYちゃんは当然と言うべきでしょうか、仲が悪くなったのです。そうしてYちゃんの人格のどれかがA君を殺したのでは、という噂です。もしかしたら悪い人格が主人格に命令したのかもしれませんね?… そう手撫井先生は話してくださいました。そこでやはり、引っかかるのは事故の話が鮮明すぎることです。いくらクラスメイトであろうと多重人格は厨二病あるある、だから馬鹿にして流す人も多いはず。そんな中ここまでしっかり把握するのは、正直難しいのではないでしょうか。手撫井先生、前、先生になったのは逃げ道のない子供たちを救いたかったからだと仰っていましたよね?それは、虐待されて、DVも見せられた、逃げ道のなかった子供時代に自分を重ねて、助けたいと思ったからではないのですか?なんて、あるわけないのに、考えてしまいました。失礼かも。 2024 1月11日
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