忌み地の怪

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と、私たちは、周囲で起きていた『ある異変』に気付く。 それはまるで、地面からガスが湧きだしているかのように――。 得体のしれない白い影が、ゆらゆらと揺らめきながら、足元の地面から湧きだし始めていたのである。 地面の至る所から、間欠泉か湯気のようにじわりじわりと湧き出して来たそれ。 それらは妖しく揺れながら、なんと人影に変わり始めたではないか。 ――あの時の恐怖と驚きを、私は今も忘れはしない。 白い影は、いつの間にか緑色の入院着を着た無数の人影に変化すると――私達の周りを踊るように揺れながら、取り囲み始めたのである。 (これはまずい!完全に囲まれてしまったらどんなことになるかわからない) 急いでここを出なければ……! 必死に足を動かす私達。 しかし、動かそうとすればする程、足が地面の中へとめり込んでいくのだ。
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