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瞬間、私達の足に自由が戻ってくる。
――この際、叱られたって構わない。
声がした方へ、一斉に駆け出す私達。
すると、先頭を走っていたガキ大将が、勢いよく転んでしまう。
「おーい!お前ら!置いていかないでくれよぉぉぉおおお!」
地面に手をついたまま、涙声で必死にそう叫ぶガキ大将。
そんな彼の方を振り返り、私達は言葉を失った。
なんと彼の両足首は――あの人影の両手に、しっかりと掴まれていたのである。
「う、う、うわぁぁぁー!」
我が身可愛さに、盛大な悲鳴を上げながら――倒れた彼には目もくれず、一目散に走り出した私達。
すると、先頭を走っていた私が何かに衝突する。
私が勢いよくぶつかったのは――この空き地がある地域の自治会長のおじいさんだった。
どうやら、夜中だというのに子供達が騒ぐ声が聞こえるから、心配になり見に来たらしい。
泣きながら、おじいさんにあの――直ぐ後ろにまで迫っていた人影達の事を報告する私達。
だが、不思議な事に、おじいさんにはあの人影が見えていない様子だった。
犬を連れたまま、ずかずかと空き地に入り込むと、へたり込むガキ大将の首根っこを掴んで戻ってくるおじいさん。
おじいさんに助けられたガキ大将は、失禁し、ぐったりした様子だった。
その後、ガキ大将を含め、私たちは親を呼ばれると、それぞれの親とおじいさんにこってりとお𠮟りを受けたのは、言うまでもない。
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