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けれど、空き地に足を踏み入れた瞬間――。
まるで、内臓全部が内側からよく冷やした濃硫酸で溶かされている様な……そんな、恐ろしいくらいの吐き気と寒気が、私の胃や胸の中に同時に込み上げて来る。
(これはマズイ!一刻も早くここから脱出しなければ!)
幼かった私が、一瞬でそう理解するほどに――酷く壮絶なものであった、当時の吐き気や寒気。
しかし、私の役立たずな両足は……ガクガクとだらしなく震えるだけで、なんと全くもって動きやしないのだ。
足元はただの地面の筈なのに――。
なのに、まるで両足が底なし沼に捕らえられてしまったかのように、全く動かない――否、動かせないのである。
恐怖のあまり、助けを呼ぼうと周りの友人たちを見てみると……皆一様に私と同じ表情で。
気付くと私達は、夜の空き地の真ん中で、金縛りにあった様に動けなくなってしまい――それぞれ呆然と立ち尽くしたまま、表情だけで互いに助けを求め合っていた。
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