相合傘

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いつもより早く登校した日直の朝。 まだ誰もいない教室に入った私は、黒板の『今日の日直』の下に並んだ私と田中の名前の間に書かれた相合傘を見つける。 「ったくガキかよ、バッカじゃないの」 そう言いながら私は相合傘じゃなく田中の名前を消すと、最近ちょっと気になっている鈴木の名前を書いてみる。 その時、朝練だろうサッカー部の鈴木が「あぁ~眠みぃ~」と言いながら教室に入って来る。 「あれ?なんだ早いなお前」 私に気づいて声をかける鈴木。 そして黒板に、相合傘の中に並んで書かれた私と鈴木の名前をみつける鈴木。 私の手には、それを書いた犯人が私と分かる証拠のチョーク・・・。 事態をストレートに理解し始める鈴木の顔に赤みがさす。 「ダメ、あのね違うの!」 私は鈴木の下に、(浩一)と急いで書き足した。 それを見て、ちょっと残念そうな顔で教室を出て行く鈴木和男。 そんな男子校の朝。
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