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「お疲れ様、今からランチ?」
「うん、良ければ一緒に」
席を立ったタイミングが合い、
彼とエレベーターを待っていると、
背後から声をかけられた。
書類の封筒を持った、佐橋だった。
「‥‥岸野」
「あ、佐橋。お疲れ様」
「悪いけど、川瀬とは」
「何がダメなの?同僚として、ランチする
だけだよ」
僕と佐橋の会話を聞いて、彼が口を挟んだ。
「佐橋も、今日一緒に帰ろう」
「「はあ?」」
彼の言葉に、佐橋ともども驚いた。
「子供じゃねえし、結構だよ」
「川瀬くん、何故?」
2人が彼に明らかにネガティブな反応を
したのに、彼は意に介さず微笑んだ。
「2人に話したいことがあるからさ。
仕事終わったら、1階のビル入口の前で。
寒いから、暖かくして待っててよ」
エレベーターが到着して、3人で乗り込んだ。
彼は何を話したいのだろう。
彼の横顔を見ながら、
両思いになったはずなのに
彼がとても遠く感じたのだった。
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