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2月15日、土曜日。18時。
定期的に開催している同期入社の自宅飲み。
僕の隣で彼が相槌しながら微笑み、
ハイボールのグラスを揺らしながら、
僕を見ると、
「川瀬くんは、彼女いないの?」
と、僕に囁いてきた。
「今はいないよ。岸野くんは?」
と彼に囁き返し、彼は首を振った。
それだけのことが、最高に幸せだった。
「あーそこ、また内緒話して」
そしていつものように、誰かに指摘された
僕たちは、顔を見合わせて笑うのだ。
「川瀬と岸野ってさあ」
佐橋が眼力鋭く、彼と僕を見つめながら、
怪しいんだよね‥‥と呟く。
「何が」
僕はビールを一口飲み、佐橋に微笑んだ。
「本当は、2人デキてるんじゃないの?」
「はあ?」
彼が笑いながら、佐橋の空いたグラスを
受け取り、ハイボールを作り始めた。
「別にいいよ。俺たちは味方だし」
「何があっても、俺は応援するぞ?川瀬」
「はいはい、どうも」
この時は僕にはまだ、余裕があった。
相変わらず彼は僕の隣に座り、
決して弱くない酒を飲み進めて微笑んでいた。
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