佐橋side

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「だって、川瀬また嘘つきそうだし。 相手のこと考え過ぎて、自分の気持ちを 犠牲にするタイプだから。川瀬、それは 優しさじゃないからな」 「心得ておきます。というか、2人に 決意表明したくて呼んだのもあるんだ」 「「決意表明?」」 「そう。僕は岸野くんが大好きです。 2人の仲を進めるためにキミに提案するけど、 たまに悩んだり行き違いが起こったり すると思う。 その時は、自分に嘘をついてキミに無理に 合わせることがあるかも知れない。 それを律して欲しいんだ」 「できるかな‥‥」 「嘘ついてるとき、意外とわかるよ。 でも、簡単には認めないけど」 先に彼を知っているという、 岸野に対する優越感から出た言葉だった。 「それでも、川瀬くんが嘘をついてまで 僕に合わせようとしてることが わからなければ? まあそんなことを考えたらキリがないけど。 いちばんいいのは嘘をつかないことだよ」 噴いた。こいつ、どれだけスレてないの。 「岸野って、もしかしてB型?」 「うまくいくかも。佐橋の時と違って」 「だね。川瀬、良かったね」 精一杯の嫌味のつもりで、微笑んだ。 「じゃあ、とりあえず。川瀬は俺の時みたいに 嘘をつかないように頑張れよ。応援する」 寂しいけど、という言葉は、言えなかった。
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