本編

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「ただいまー」 佐橋を先頭にして、 3人がドアを開けて帰ってきた。 「超寒かったー、早く飲み直そうぜ」 「何だよ、たこ焼き器温まってないじゃん」 「お前ら、何遊んでたんだよ」 口々に言う彼らに、彼は満面の笑顔で こう言った。 「ごめん、岸野くんとキスしてた」 呆然とする僕の横で、 吉川が興奮を抑えられないといった様子で、 早口で捲し立てた。 「すげー、本当にくっつきやがった。 俺たちは、ずっと怪しいって思ってたんだ」 「そうそう。最初は佐橋が言ってて」 秋津が佐橋の肩を抱きながら、 言葉を続けた。 「‥‥おめでとう」 その佐橋と言えば、表情としては 微笑んではいたが、 いつもの穏やかなものではなく、 何か言いたげに見えた。
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