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【2】覚醒した能力がエグい
「ゲップ」
「あらあらザハルちゃんゲップが出ましたね」
うん。母乳うめー。差し詰め米みたいな感覚だな。食後のデザートが欲しいところだ。
よし、少し探検をしてみるか。
なんせ俺は今ハイハイが出来るからな!
「ふふふ。あらあらザハルちゃん今度はお出かけかな?いってらっしゃい」
「ベリー、ザハルは何処行った?」
「ザハルちゃんならたった今自宅探検に行ったよ」
「そ、そうか。なんかアイツの成長が異常に早い気がするんだが、まだ生まれて1週間でハイハイとか普通はありえないんじゃないのか?」
「んー……そうよねー。でもそれはそれで嬉しいじゃない」
「そうだな……今はそんなこと気にせず、アイツの成長を穏やかな目で見守るとするか」
ふん。パピーよ、それもそうだろう。
なんせ俺はこの幼児体型にも関わらずパピーとマミーのレベルを越えてるのだからな。
君たちのレベルは知っている。
パピーのレベルは3でマミーは2であろう?
ふっふっふっ。
俺は既に8だからな。
何度も言うがこの世界でのレベルは大変上がりにくい。レベルが1違うだけで出来ることの範囲が大幅に変わる。
行ける場所の範囲も変わってくる。
そう。まさに証明書の様なものなのだ。
だが実際のところレベル8で何処に行けるのか、何が出来るのか、これについて俺は何も知らん。
恐らくアイツが知っているだろうから俺は今やらなければならないこと基やりたいことに専念しよう。
「システムの再構築は終わったのかよ?」
「あ、主。おはようございます」
「あ、ってお前。完了してるんなら言ってこいよ。それにおはようございますって結構時間経ってますけど?」
「お、おほん。システムの再構築は完了しております」
「こいつ……普通に流しやがった」
「システムの再構築により主には何点か私に対しての権限が設けられました」
「権限?」
「お喜びください。私に名前を付けれる権限です」
「それどうでもいいし、再構築して得られる権限が糞過ぎない?お前単純に名前が欲しかっただけだろ」
「お名前を付けますか?付けませんか?」
「ウキウキな声でリピートすんなよ。
分かりましたって。付ければいいんでしょ?でもあれだぞ、文句言うなよ」
「勿論です。主の言葉に従います」
「なんか妙に嬉しそうな声なんだよな。
んーそうだなー………」
こいつ辛口なところもあるんだよなぁ。
ギネス認定の激辛胡椒ジョロキアから名前を取ってキアでいくか。
「じゃあ、キアはどうだ?」
「名前の由来があれですが、キアですね。ありがとうございます」
「心まで読むんじゃねーよ!」
「仕方ないではありませんか、私は心に住んでるシステムなんですから」
「いや、厳密に言うと人間には心って機能ないからな。全ては脳だからな」
「じゃー脳にいます」
「スーパー適当だな!お前」
「お前、名前が付いた瞬間から喋り方も少し饒舌になったな」
「主。それは気のせいです」
「いや、でも」
「気のせいです」
「はいはい。もういいです。で、今の俺は何が出来るんだよ」
「人間の成長過程を早めることも成功しており、既に歩けますし、チャリ乗れます。しかも補助輪なしで」
「まじで!?0歳で!?」
「ただ0歳用が存在しないのも現実です」
「じゃあ結局乗れねーじゃねーかよ!」
「まぁそうなりますね。DIYスキルレベルを上げれば作ることも可能ではありますよ。ただ現在覚醒したスキルの話をさせていただくと、スパイダーハイハイが可能でございます」
「怪しい名前だな。絶対モデルは映画のあれだろ?」
「スパイダーハイハイとは床でも壁でも柱でもハイハイで進めることができ、より効率よく必要な栄養分や見聞を高める事が出来ます。それにより主は誰よりも早くスキルレベルも向上する仕組みでございます」
こいつが話を流すのも何故だか慣れてきてしまった。
「んでスキルはどうやって発動するのよ」
「本来スキルや魔法の発動には詠唱が必要ですが主はしなくていいように、端折っておきました」
「やりたい放題だな。いや、助かるが。まぁやってみるか。
お?おぉぉ!これは確かに凄い!ブリュレみっけ!ウマし!あっ!パピーのタバコもあるやんけ。フー……うめー!!この最初の1口目は極上にうまいんだよなぁー!甘いものにタバコは神の産物ですなー!」
「能力急上昇アイテムの摂取を確認しました。
レベルが10に上がりました。
スキル:無限インスリンレベルMAX。
スキル:無敵腎臓を獲得。
スキル:永年血液サラサラを取得。
スキル:タバコの有害物質無効化レベルMAXを獲得」
「なに!?それめっちゃうれしいんだが、ただなぁ、それは前世で1番欲しかったー……」
「主、よいではございませんか。その分、新しい人生を謳歌してみてはいかがでしょうか?」
「そうだな。ポジティブに行こう」
「それに主にはもう1つ素敵なスキルと重要なスキルがありますよ。これは最初から」
「なに?」
「素敵なスキルは寿命が異常に長いことです。
恐らくヴァンパイアなどと変わらないか、それ以上に」
「まじで!?いやでもなぁ、そんなに長くてもやることって尽きてしまうし、別れを多く経験してしまうんじゃないんだろうか……
んーー。それは寂しいなぁ」
「その時は別の事を楽しみましょう。
それに同じく長寿の者と伴侶になればよいでしょう。例えばエルフとか、それこそヴァンパイアとかもよろしいかと。
主よ、生きている間の人生は無限大です」
「んーそれもそうだな。しかしスキルにしてもレベルの上がり方にしても、俺だけ異常に早すぎないか?」
「それも主の特性です。主は通常の人の凡そ100倍の速度で全てが成長します。理由は私の存在です」
「100倍!?
いや!だとしたらこの世界のレベルってどんだけ上がりにくいのよ!
で、お前の存在ってなんなの?」
「ほら、あれみたいなもんですよ。ゲームのチートツールみたいなものです」
「あー卑怯ツールな。けど俺はオンラインで使わなければ肯定派だけどな」
「そう!そこです!主のその潜在意識がありましたので有効活用致しました」
「でもこれさぁ、それならこのパターンさぁ……使ったらダメなパターンじゃね?
俺だけ100倍って……最早壊れスキルじゃねーか!」
「主、人生とゲームは違います。
産まれながらに恵まれた人生の人と
産まれながらに不孝な人がいます。
恵まれた体質に生まれ変わった主は、今回は人生を自由に楽しく生きるべきです。
と私の独断と偏見で決めました」
「そ、そんなもんなのか……だがまぁ本質的にはそうなんだろうな。ありがとな」
「いえいえ、お気になさらず。
本当は神様の願いでもありますので」
「いや!そう言わんかーい!大事な部分は割愛すんなし!全力で自分の手柄にしようとしてたやん!」
「あくまでも現状は最低スピードで100倍ってだけですからね。主の成長と私の成長で200倍300倍と成長スピードも変化していくと思いますよ」
「それ、まじでいいの?」
「問題なしです」
「あ、そう……」
「それと重要なスキルの話です。
元来この世界ではステータス掲示が義務化されている以上、主のステータスも人に見られることが大いに増えます。
既にパピーとマミーには何度も見られています」
「え?それってやばくない?」
「通常であればこのステータスを見られれば、まぁまぁの事件ですね。ですが私の存在により主には二重ステータスが存在します。
簡単に言うと主と私の同化した主要ステータスとダミーのステータスが存在します。
基本的に主の活動していない時間は私の権限でダミーステータスで隠しております」
「え?それって大丈夫なのか?
バレたらやばいとかじゃないのか?」
「普通そんな事する人が居たらやばい……のかもしれませんが、それは不正でダミーを作ってる場合が考えられますが、主の場合は実際に存在するものなので嘘は掲示してません。
ですので何1つ主は後ろめたい気持ち持つ必要はないです」
「まぁ確かに異常なステータスは乱を呼ぶだろうからな。助かるよキア」
「いえ、これも私の仕事なので」
何だかんだ言って俺のことを大切に考えてくれてたんだな。あのヘンテコな神様たち。
ほんとうにただのお祭りバカだと思ってたことは内緒にしておこう。
しかしあれだな、俺まだ0才児なのに普通に生活できるレベルで自由自在になってきたが、1歳になる頃にはこれってどうなんの?
我ながら怖いわー……
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