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VS神父③
「体で払え」と男に迫られたら、ふつうは白魔導師の身を案じるところ。
すでに男二人と魔物に犯された経験のある俺は、思わず打ち震えて、すくめた肩を抱いてしまった。
白魔導師と神父に見咎められなかったとはいえ「くそう・・・!」とひそかに恥じて、俺をこんな体にした、どこぞの野郎どもを恨んだもので。
神父は冗談のつもりで、すこし、からかっただけなのか。
その割には「なんてね」とおちゃらけもしなかったが、まあ、神に仕える敬虔なお人に、もちろん他意はなく。
「このごろ、魔物対策で村人が忙しくしていましてね。
教会の手伝いをしてくれるよう、頼みにくいものですから。
勇者ご一行の方のお手を借りるのは、恐縮ですが、こういう形にすれば、蘇生もすることができますので」
事情を明かしてもらえば、俺も白魔導師も異論はなく、よろこんで体で支払うことに。
俺は教会の手入れを、白魔導師は修道僧と町の慰問にでかけた。
「二人の棺桶をよろしくね」「わかった、いってらっしゃい」と白魔導士を見送ってから、まずは教会の本堂の掃除。
中央に置いたままの棺桶が、やや気になりつつも、鉄製の装飾品を磨いていたところ。
はめこまれた透明な石が外れて、石畳を跳ねていった。
「お、わ・・・!」と中腰で追いかけると、跳ねていく先に、猫のくぐり戸ほどの壁の穴が。
案の定、その穴に石がころがりこんだのに、つづけてダイブ。
穴の向こうに、すこし入ったところでキャッチできたものの、勢いあまって、体をのめりこませて、すっぽりとはまってしまった。
腹がつかえて「ぐう・・・」と呻きながらも、上体を退こうとしたものを、びくともせず。
作業用として神父に貸してもらった割烹着のようなもの、その布が穴の隙間を埋めて、ぎゅうぎゅうになっているらしい。
穴の向こうは、暗い物置。
もどれないなら、くぐろうと、這いでようとするも、やはり布がつまって。
まあ、神父がそのうち発見してくれるだろうし、作業着の布をどうにかしてもらえれば、抜けだせるだろう。
とはいえ、壁から下半身を生やしているような光景を見せては、吃驚させそうで申し訳ないが。
と、思っているちに、ドアの開閉音とこつこつと石畳を叩く足音が。
なにか呼びかけているようなものを、厚い壁越しには聞きとれない。
近づいてきた足音がとまり、しばしの静寂。
状況把握をしてくれたようで、俺の足に膝が当たった感触が。
しゃがみこんで、早速、穴からの脱出の手助けを。
と思いきや。
尻を触られた。
両手を当てて、撫でたり、揉んだり、つかんで揺すったり、指で輪郭をなぞったり、くすぐったり、つついたり。
神父ではないのか?
神父の云っていたように、魔物対策に忙しい村人ながら、誰か用があって訪れたのか?
で、間抜けにも穴にはまったヤツの、突きだされた尻を見かけて、欲情したと?
中央にでかでかと置かれている棺桶に気づかないで?
いやいや、神父にしろ、棺桶の中身が勇者と知っていて、その仲間に手をだすか?
手の大きさ、指の長さ、手つきからして、子供がいたずらしているようでないし・・・。
相手の正体も、思惑も目的も不明なまま、尻を揉みしだかれて、本当、俺の体はどうなってしまったというのか。
見ず知らずの(手の形からして)男、しかも卑怯な痴漢に体をまさぐられても、不快感や嫌悪感しかせず、強烈に体は拒否反応を示すのではないのか。
(自発的にとはいえ)拘束と目隠しをされたような形で襲われても、恐怖心はさほどなく、ろくに暴れようともせず。
尻を揉まれるたびに、腰をぴくぴくとさせ「く、う・・・う、あう・・・くう・・・!」と噛む唇から、熱い息を漏らす始末。
ズボン越しに火照った体温が伝わってだろう。
「よしよし」とばかり撫でてから手を退けて、パンツごとズボンをずらした。
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