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そして、二つの大きな果実を食べ尽くした俺はすぐに眠りにつく。
やがて、目を覚ました時には身体が少し動くようになっていた。
あのまま死んでも良かったのに、俺は生きることを選んだようだ…
…まだ、心のどこかで死にたくないと思っているかもしれない。
もう、生き甲斐なんてありはしないのに…
仕方なく俺は起き上がって、村人全員の死体を一人一人土に埋めるべく動き出した。
初めは思うように身体が動かず、エレンの死体を埋めるに精一杯で、エレンを埋葬してすぐに仰向けに倒れ込んだ。
すっかり辺りは暗くなっていて、空には星が輝いていた。
…ああ、どうせならあのドラゴンがやって来ないかな?
ドラゴンが俺を見て、殺し損ねたことに気付いて今度こそ俺をちゃんと殺してくれるかもしれない。
村が滅ぼされた直後はドラゴンに対して、恐怖を抱いていた。
だけど、いつしかそんなものは無くなっていた…
むしろ、今の俺はアレがもう一度ここに戻ってくることを望んでいたのだ。
仰向けになって、いつの間にか寝てしまっていた俺の頭に何かが当たって目が覚める。
起き上がって見下ろすと、そこには昨日も転がっていた大きな果実が二つまた転がっていた。
ふと、すっかり夜が明けて、青く澄み渡った空を見上げる。
しかし、頭上には何もなく、すぐに周囲を見渡すも、誰も何もいなかった。
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