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首を傾げながらも、昨日のこの果実のおいしさを思い出して、気がつくと果実にかぶりついていた。
そして、昨日同様に転がっていた果実を食べ尽くし、家族や村人の埋蔵へと精を出す。
この日は家族全員の埋葬を終えた。
また次の日の朝、目覚めると目の前にはあの大きな果実が二つ転がっていたのだ。
何の疑問も抱かずに俺はそれを有り難く食した。
村人全員の埋葬をしたい俺には体力が必要だったからだ。
特にまだ少年だった俺には…
次の日もその次の日も俺は埋葬に勤しんだ。
とても有難いことに、毎朝目覚めるとあの果実はちゃんと俺の側に転がってくれていた。
だから、俺は元気に身体を動かすことが出来たのだ。
誰が一体果実を…?
もしかしたら、ドラゴンに家族や村人を殺された俺を憐れんだ神様が起こしている奇跡だろうか…?
そうだ…きっと、そうだ…
神様は俺に生きろとおっしゃっているんだ…
俺はそう信じて、村人の埋葬を続ける。
やがて、埋葬をしていくうちに、あのドラゴンへの怒りが心の奥から少しずつ湧いてきた…
いつか、必ず俺がアイツを殺してやる。
日々にその執念が強くなっていった。
やがて、俺が村人全員の埋葬を終えた時、ようやくこの村をドラゴンが襲ったという報を受けた王国の兵士たちがこの村にやってきたのだ。
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