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そして、俺は王国の兵士たちによって保護される。
王国の兵士たちは俺の元気な姿に驚いていた。
勿論、それはあの黄緑色の神様がくれた果実のおかげだ。
あと、家族とエレン…村人たちを殺した北の山の主であるあのドラゴンへの復讐心が俺に生き甲斐を与えていたのかもしれない。
◯
あれから、俺は王国で暮らすことになった。
すぐに王国騎士団に志願して、見習い生として騎士を目指したのだ。
十六になった頃、俺は見事に王国の騎士になれた。
騎士になったあとも、慢心せずにひたすら剣技の腕を磨き、二十六になった時には一つの小隊を束ねる騎士となっていた。
そして、俺はその小隊を率いて、あの北の山の山頂を目指したのだ。
北の山の主であるあのドラゴンを殺すために…
あれ以来、あのドラゴンによる被害は報告されてはいない。
だが、俺の村を襲ったという経歴を持つ北の山の主は常に周囲の街や村から恐れられた存在だった。
なので、国王も俺があのドラゴンの討伐を訴えた時、首を縦に振って下さったのだ。
小隊の皆には充分に気をつけるように指示を出し、俺は先頭を歩き、険しい山を登っていく。
やがて、空気が薄れて霧が濃くなってきた時、俺と俺の小隊はドラゴンの巣へと辿り着いた。
その巣の奥には大きなドラゴンが横たわっている。
間違いない…あのドラゴンだ。
あの日、俺の村を襲った憎きドラゴン…
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