月があるかぎり

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 美月の誕生日。早く仕事を終え、予約済みのケーキを取りに出かけた。ケーキ屋を出たところでスマホが鳴り、着信表示には『芽衣』の文字があった。 「なんだ芽衣。ケーキなら心配しなくても――」 「お父さん!! 今どこ!?」  電話に出ると芽衣の叫ぶ声が聞こえた。 「ケーキ屋の前だけど?」 「お母さん、お母さんが」 「どうした?」 「床に倒れてて……! 目を、開けて、くれないのぉぉ!」  声から芽衣の緊張と不安が伝わってきた。  芽衣の荒い呼吸と泣き崩れる声が耳に響き、手に持っていたケーキの箱が落ちた。
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