月があるかぎり

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 見えない美月との会話は、すんなり受け入れることができた。  気をつけないといけないことは、美月の声は芽衣には聞こえないということだ。うっかり芽衣の前で美月を呼んでしまい、芽衣の哀れむような顔を見ることが何度かあった。  美月の声のおかげで俺の精神状態は安定し、芽衣も自分の受験勉強に集中できたようだ。  芽衣が高校に無事合格し、ホッとしたものの、その後遅れてきた反抗期に苦労させられた。  口をきかない、自分の洗濯物だけ別で洗う……そんな悲しい状況だったが、干渉しすぎないよう見守る姿勢を貫いた。  反抗期がおさまると、少しずつ芽衣から話をしてくることが増えた。海外留学をしたいと聞けば、留学制度が整った大学を調べ上げ、塾に行きたいと聞けば、希望の塾に通わせた。  そして、大学にも無事合格し、一か月前からカナダへ留学している。  芽衣の夢を尊重し支援する過程で、かつての仲の良い父子関係を取り戻すことができた。  これもすべて美月のアドバイスのおかげだ。俺ひとりだったら、もっと悲惨な状態になっていたかもしれない。  本当に、美月には感謝しかない。
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