踊るように描き、描くように踊る

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僕はこっそりツバメの行動を真似するようになった。 いや、こっそりじゃない。 気づいて欲しかった。 ツバメと近づきたいと思っていることに。 ツバメは僕と目が合うと、パグみたいなくしゃっとした笑顔で、大袈裟に上履きのかかとを踏んで、僕の仕草を真似した。 その笑顔の奥に、僕と同じ気持ちがあるのだと、そんな確信が欲しくて、僕はツバメの真似をし続けた。 ひとりでいることも、沈黙も、苦痛なんかじゃなかったのに、僕はツバメと言葉を交わさない日は誰かに話しかけてもらいたい気持ちになり、ラジオを聴くようになった。 本当は、ラジオの声じゃなくて、ツバメの声が聞きたかった。 借りた本を開くことはなかった。 だけど、あの本に書いてあることは正しかったんだと思う。 僕が絵を描いていると、ツバメがそこに現れたり、ツバメが踊っているところに僕が絵を描きに行ったり、そんな偶然がいくつも重なったからだ。 まるで放課後の学校の中でかくれんぼでもしているみたいだった。 ツバメは僕の姿を見かけると、きまってあのくしゃっとした笑顔を浮かべた。 その笑顔が、僕をたまらなく満ち足りた気持ちにさせるのだ。
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