踊るように描き、描くように踊る

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あれから何年経ったのだろう? ビールを飲む。 星を眺める。 そんなことをいくら繰り返しても、ツバメと出会える偶然なんて訪れなかった。 ひとりぼっちだ。 ひとりでも楽しそうに見えるツバメみたいにはなれなかった。 飲み干したビール缶を片手で潰す。 わずかに残った液体の気配を感じる。 僕はこの瞬間に気づいた。 潰れたビール缶にはまだ僅かなビールが残っているのだ。 絶望する必要は、ない。 ミラーリングは失敗したと決まったわけではない。 僕は、夜空を仰いで笑った。 ツバメみたいに、くしゃっとした顔で。 今頃、ツバメも同じ笑顔を浮かべていることを願って。 想いが届かなくてもいい。 ミラーリングは失敗でもいい。 ツバメ。せめて笑っていてくれ。 くしゃっとした、あのパグみたいな笑顔で。
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