宇宙のアクター

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地球は青かった── 「ボストーク1号」と共に、人類で初めて宇宙へ行ったガガーリン大佐の有名な言葉だ。 だが、日本ではそう翻訳されて広まったが、正確には「空はとても暗かった。一方、地球は青みがかっていた」だったと言う。 また海外では日本とは違って「見渡したが、神はいなかった」という言葉の方が有名であるそうだ。 まあどちらにせよ、その偉業に変わりはない。 日々忙しく暮らすあなたよ。 少しだけ足を止めて、太古より人を魅了してやまないロマンの塊である夜空を、宇宙を眺めてごらん。 詩人になって名言の一つも言ってみたくなるだろう。子供に返って神秘の煌めきに瞳を奪われ、時間を忘れるのもいいだろう。 裸で放り込まれれば一瞬にして人命を奪う、この非情な真空の空間には、それこそ星の数ほどの人々の空想や夢、希望、祈りといった物が広がっているのだ。 そんな畏れ多い神の領域へ、私は今日旅立つ。 目指すは電子信号もテレパシーも届かない、はるか262光年先にある乙女座のα星、スピカ。 真珠星とも呼ばれる純白に気高く光る美しい星。まさに乙女さ。 もちろん危険極まりない旅だ。失敗すれば私の体も魂も、この大宇宙を構成するロマンの中に霧散してしまう。 しかし、恐れず前を見つめ続けた者だけが、その先にある栄光を手にする権利を得るのだ。そうだろう? さあ、ガガーリン大佐に習って、声を上げて足を踏み出そう。自分を奮い立たせるのだ。 命がけの冒険の為に、闇を照らす勇気の炎を燃やすのだ! 「さあ、行こう!」 操縦桿を握りしめればもう迷いはない。 待っててくれ、宇宙の乙女よ。 最新鋭無敵艦隊を率いて私は飛び立つ。 無重力に浮かぶこの夢心地が、永遠に続く事を願いながら。
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