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ふっ……
知っておるぞ。気付いておるぞ。
愚かにして野蛮なる者よ。塵芥にも劣る矮小な原始生命体よ。
我にはお前の手に入れた未熟な文明では想像も出来ぬ感知能力、予知能力が備わっておる。
お前の用いる未成熟な言語では、超能力としか言い表しようがないものだ。
ふふ、この宇宙はロマンに溢れている、だと?
詩人を気取って名言を綴りたい、赤子の様に夢を描きたい、だと?
黙っておれば勝手な事を。なぜその様な考えが湧いて来るのか、全く持って理解に苦しむ。
誰に習うでもなく、本能としてDNAに刻まれているはずだ。知っているはずだ。
お前と我の距離は、僅か262光年どころではない。しかもそこは裸で放り込まれれば一瞬にして命を奪う暗黒と真空の地獄だと。
我の白き輝きは、お前の星ごと全てを焼き尽せる無情なる業火だと。
神々しい存在、等と軽々しく呼ぶでない。
我はお前にとって、神をも超えたレベルの存在である。同じ次元で語られる事すら穢らわしい。
勇んで向かって来たところで、お前は我に触れる事すら叶わぬ。視界の隅に入った刹那、愚かな塵芥がその姿すら失い、ただの愚かとなるのみだ。
何ゆえに自分だけは特別だと信じておるのか。
だが。それでも愚かな者は、卑しい胸に抱きしただの愚劣な欲望に、愛だの勇気だのと大層なお題目を付け、推進力に変えて特攻して来る。
一体、我に何度、愚かと言わせるつもりなのか。
命は投げ捨てるものではない。それを厭わぬ事は勇気ではない。その誇りもそれこそ埃と変わらぬ。
命を代償にしても良いなら、教えてやろう。
来るが良いぞ、塵芥以下の何か。
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