ダンジョンボス

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ダンジョンボス

不機嫌な上に重みを帯びる声に、迷惑冒険者たちが縮こまる。 「今んところ異常なしで報告になるかと思っていれば……いつの間にダンジョンを私物扱いするやからが出始めたんだろぉなぁ……?」 『げぇ……っ、SS冒険者のキース!?』 しかも今回は『げぇ』かよ。 「しかも俺のシュカに勝手に話し掛けるとか……お前ら死にたいの?」 話し掛けるだけでダメなの?下半身狩られるの?いやまぁ、彼らは一度痛い目見た方がいいと思うが。 「冒険者カード出せ」 キースが言えば、迷惑冒険者の3人が渋々冒険者カードを差し出す。 「お前らのデータ、ギルドに送信するから」 「そんなぁ……っ、それだけは!」 「うるせぇ、黙れ。今後は身辺調査を行い、場合によっては罰金、ランク降格などの処分を科す。そして沙汰が下りるまでダンジョンへの立ち入り禁止」 3人の冒険者カードを返しつつ、キースが容赦なく告げれば。 「そんなことされたら……生活が……っ」 迷惑冒険者たちが震えながらキースを見るが……。 「知らねぇよ。まともに冒険者稼業やってる冒険者の迷惑だ。そうなりゃギルドのクエストの循環にも影響が出る。あと、ここは冒険者のレベル底上げにも利用されるから新人冒険者も育たねぇ。とっとと出ていけ」 『……』 悔しそうに俯く迷惑冒険者たち。それでもまだ粘るつもりなのか……? 「10分以内に出ていかねぇと股間が爆発する魔法かけといたから」 ニタァァッ! ひぃ――――っ!?どさくさに紛れて何つーもん仕掛けてんだこの男はぁっ!! しかし……こう言うことを繰り返してたんなら、因果応報である。迷惑冒険者たちは血相を変えて飛び出していった。そうすれば、周りから拍手が溢れてくる。 「さすがはキースさん!」 「あいつらには困ってたんだ!」 「ほかの場所使うにも金銭要求してきて……」 「素材とられたやつまでいるんだ!」 うわぁ……ほかにも色々と悪事を働いていたようだ。 「まぁ、通報ならギルドにしておきな」 周りの冒険者たちにそう告げたキースはこちらに戻ってきて、狩った魔物の下ごしらえを始める。 次は調味料を振りかけた魔物の肉を焼きつつ……。 「先に焼いといたホットサンドイッチ食う?」 「ん、ちょーだい、シュカっ」 そう言うとしれっと頬に口付けしてきた。 ――――さて、食後の俺たちはいよいよ最終階層である30階層に到達した。 「さて、ここまでは他には異常なくこられたな」 「うん、平和だったね」 魔物は出るし、宝箱お化けは出るし、キースの股間は勃起しているが。 あの20階層の迷惑冒険者たちを成敗したからか、これぞ普通のダンジョンって感じだ。 キースの股間が相変わらず勃起しているけども。うん、勃起……。 「最終階層と言えばダンジョンボスがいるものだ」 「う……うん……。やっぱり強いのか?」 「いや、ここはそんなことはねぇよ。比較的討伐しやすいんだ」 そっか、それなら……。 「だが、それだけじゃねぇ。ボス戦にはある秘密があるんだ」 「な……っ、何があるんだ……?」 「まぁ、入れ」 キースに招かれボス戦の部屋に入る……が、ここってこんなにフランクに入っていいのだろうか? そう言えばボス魔物は……。 ボス魔物を一目見ようとした時だった。キースが視線の先に爆撃のような拳を撃ち込んでいた。 『ギェアァァァァァァ――――――ッ!!!』 ひいぃっ!?それボス魔物の悲鳴だよね!?一目見る前に木っ端微塵になったよおおぉぉぉっ!!? せめて見せて!ボス見せて!! そしてカラン、ガラガラガシャンと落ちたのは……討伐報酬? 「ボスだけは捌けないんだよ。前に無理矢理捌いて焼いて食おうとしたらダンジョンの意思にマジ怒られた」 ダンジョンの意思……があるのか。てか、マジ怒られるって……ほんと何やってんだか。 「その代わり、あぁやってトレジャーを落としていくんだ。暫くすれば復活するが……まだ復活しないからな……ここは一丁……」 「うん……?何かしなきゃいけないのか?」 「そうだな。倒した挑戦者がダンジョン内に戻るか奥のポータルで入り口に戻るまでは他の冒険者たちが再挑戦できないわけだ。つまり、それまでは入ってくるやつもほぼいない。ポータルも魔物を倒したパーティーと一緒じゃなきゃ機能しないようになってる。まぁ30階層くらいのダンジョンじゃぁ、無理にポータルを利用しようとやってくる冒険者も滅多にいないが」 「あはは……そうだよね……?」 やろうと思えばそう言うこともできてしまうのか。 「あ、でもそれなら俺たちがこのままここにいたら、他の挑戦者たちが困るのでは……?」 「ちょっとくらい……いいだろ……?」 そう言ってキースが手を伸ばしたのは……さっきから勃起してる股間――――っ! 勃起し過ぎて無意味になりつつある股間を覆う布をサッとよければ、そこにはもりもりにボコッと盛り上がったキースのちんこタワーが聳え立っていた。 ……いや、分かっていたけども。 「な……?シュカ。やろうぜ……?」 そう言って、俺をいつの間にか壁際に追い詰めていたキースが、ぐいっと股間を俺に押し付けてくる……っ! 「おま……っ、まさかずっとこれを狙って……?」 「ふん……30階層の普通のダンジョンだからって、俺にセックスさせねぇなんて……認めねぇ……!」 どこにこだわってんだこのエロ冒険者っ! 「いや、またダンジョンの意思に怒られたら……っ」 「ダンジョン内でエロいことをして、今まで怒られたことなどない!そう!ダンジョンの意思もまた……エッチなことは大好きなんだ……っ!」 何だその特に知りたくなかった情報はよおおぉぉっ!? 「だから早速……」 キースが股間のファスナーに指を添えた時だった。 「ラッキー!報酬そのままだ!」 「猫ババしちまおうぜ!」 「今日はついてんなぁ……!」 マジで……?こそ泥みたいなマネする冒険者たち、イタ――――っ!? そして彼らはふと、壁際でいたそうとしているキースと俺に気が付いた……! キースは憤怒の形相で彼らを振り返る。あ、これはかなりまずいか……? 「まだ……駆逐が必要なカスどもがいたようだな……っ!?」 キースが普段は隠している竜の本性をあらわにする……! 「まさか……SS冒険者の……っ」 「死ねやぁぁぁぁっ!!!」 キースの最恐ブローが炸裂した。 「あの、ほどほどにしろよー?」 聞こえているかは分からないが。 ※※※ ――――地上、出口。 こそ泥紛いのことをした冒険者たちをシメて通報したキースと俺は報酬をもらい、ポータルで地上に戻ってきた。 「あー……結局できなかった」 キースは悔しそうにしているものの……。 「でも、ダンジョンの治安をまた一つ守れたんだから」 風紀は人一番乱していると思うが。そうして俺は来た時と同じくキースに抱き上げられて浮上した。 はぁ……やっと帰れる――――。ダンジョンでやれなかった分、キースが口付けやら愛撫やらやたらと濃厚にくれたけどね。
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