酒盛り

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酒盛り

ようこそ~と、扉を開ければ早速……。 「お待たせ、キースさん、シュカさん。これ、お土産です」 はいっと焼き鳥の入った袋を差し出してくれたのはシエルさん。 「あ、ありがとうございます!」 「俺からは酒。たくさんあるだろうが……お詫びにと兄上からもらってきた」 しれっと言ってるけどグレンさん、陛下からもらってきたの……?そんなすごいのもらっていいの……? しかしキースはごく普通に受け取る。そして2人を邸内に通せば。 「キースさん、地下行って取って来ていい?」 「わぁった、わぁった、行って来い。あとビール樽はもう2つ運んである」 「りょーかい!それじゃ、取ってくる!」 シエルさんは慣れた様子で酒蔵へ続く階段を下っていく。やっぱり居候していただけあって、慣れてる……? 「グレンはどうすんの?」 「俺は別に……いくらか出してるんだろう?それでいい。手伝うことがあるなら……」 「いえ、グレンさんはお客さまなんですから!座っててください!」 慌てて言えば……。 「そうか……分かった」 頷き、ソファーに腰掛けてくれる。 キースに続いて俺も腰掛ければ。早速キースとグレンさんがコルクを開け始める。 「グラスはそこら辺の使って」 「あぁ」 2人とも仲良さそうだし、よく一緒に飲んだりしてるのかな? 「シュカはビールか?」 「う、うん!」 異世界でお馴染みの樽ジョッキも用意してもらったし……ビール樽には蛇口がついているので……そのまま注ぐだけ! しかも魔法で冷え冷えなんだよなぁ。 「わーい!」 「……何か俺との時より嬉しそうじゃないか?」 「はぇ?」 何言ってんの?まさかキース、ビールに嫉妬したのか……? そしてグレンさんがそのやり取りを聞いて吹いていた。 やがてシエルさんが帰ってきて、マジックボックスの中から大量に酒瓶を出してきたんだが……っ!? マジックボックスを持っていることも驚きなのだが……。まさかそれ、全部飲むの!?いや、ちょっとずつだよね!? そして……。 『カンパーイッ!!』 盃を合わせて、おのおのおつまみを摘まみながらお酒を味わう。ん、惣菜屋さんのおつまみも美味しいし、シエルさんのお土産の焼き鳥も美味しいなぁ。 そして異世界のビールも……旨い……! 「シュカさんもビール好きなんだぁ……貴族とかだと普段飲まないから」 そういやキースって貴族出身だもんな。それでも邸にあるのは……シエルさんが昔居候していた名残? 「俺は地球では庶民でしたから。てか、シュカでいいですよ?」 「じゃぁ俺もシエルで」 「はい、シエルさ……ううん、シエル」 思えばこんな風にシエルと話すのは初めてだなぁ。シエルと一緒に話しながらもぐもぐしていれば。 「しかしまぁ、こちらの方が身軽なもんだな」 と、グレンさん。身軽……とは……? 「カッカッカッ。兄ちゃんに怒られんぞー」 と、キース。兄ちゃん……? ――――ってそれ陛下ぁっ!! 「お前……『兄ちゃん』ってな……別にいいが。でも第2王子の尻拭いに引っ張り出されたからなぁ……今日はお前のところのただ酒を腹いせに飲む」 ついでに言えば、お土産の高そうなお酒……ワインもただである。 「ははは。まぁここら辺の酒は親父からだけど」 「だからこそだ」 そう言ってグレンさんが追加でお酒を注いでいた。 キースのお父さんって……貴族、だよな……?何か関係あるのかな……。 「あ、俺次はビール飲む!」 シエルが立ち上がり、ビール樽の方へ……。 「あ、俺が注ぐよ」 そう言って俺も立ち上がった時だった。 「あ……っ」 シエルがぐらりと傾いて……。 「へぁ……っ!?」 俺ごと倒れる――――っ!!? 「おい……っ!」 いや、何かキースがすごわざで俺の背を支えてくれたのだが。 「こら、シエル。受け同士だからって」 あ、シエル、受けなんだ……なんとなく思ってはいたものの。 グレンさんがシエルをがばりと引き剥がす。 「んえぇ……?」 シエル酔ってない!? いや、確実に酔ってるよね……っ!? 「あ、グレンの雄っぱい……」 しかもグレンさんの雄っぱい揉み始めたし……っ! 「いや、その……さすがにあれは」 「何だ、シュカ。お前もやりたいのか……?いいぞ」 いや、そう言う意味じゃないわぁっ!キースぅっ!! 「あー……とにかくシエルは大人しくこっちに来なさい」 「んー……」 でも一応グレンさんの言うことは聞くんだ。上司……だから……? いや、でもソファーに腰掛けたらグレンさんの膝に頭乗っけて寝始めたんだけど!? いや……上司と部下……まさか……上司と部下びーぇ……っ。 「シュカ、唇にやけてっけど、お前も酔ったのか?」 「ち、違うからぁ……っ!!!」 ヤバい、夢中になりすぎて頬が緩んでたぁっ!!でもその緩みも一瞬で覚めた。 「あの、キース」 「ん?」 「あそこに空いた酒瓶が大量にあるんだけど」 あれってシエルが持ってきたお酒……と、キースが選んだのも……。 「いつものことだ」 「いつものことおおぉっ!?」 「大丈夫大丈夫、部屋は空いてるから勝手に使っていいぞ」 「それは助かる」 そしてキースが告げれば、グレンさんがいつものこととばかりに頷いた。 あの……もしかしてグレンさんとシエル……同じ部屋に……いやいや、ベッドは2つかもしれないもんね!? 「さーて、片付け片付け!」 「シュカぁ、俺、まだここの飲んでなーい」 キースがさも当たり前のように股間をおさわりしてくるんだが。 「いや、キースも酔ってんの?」 いつも通りな気もしなくもないのだが。 何だか微笑ましくなってしまった。
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