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修羅場の予感
さて、邸飲み会が終わり、俺も二日酔いが明けて気分はすっきり!
今日はキノコご飯炊いてキースの帰りを待ってよう……!と、気合いを入れた時だった。
「……っ、あれ、誰か来た……?」
邸のベルが鳴ったのだ。。今日はお客さんが来るだなんて聞いていないのだけど。
「はーい、どなたですか?」
キースの知り合いかな……?扉を開けるとそこには、日本で言えば高校生くらいの男の子がいた。
ミルクティー色の髪に、アメジストの瞳。そしてイケメンだ。キースの方がイケメンだけど……ってそれは余計だから……っ!
「あの……あなたは……?」
「ぼくはキースさんのおと……っ」
「へ……?」
今何か言いかけなかった?
「キースさんの……元カレです」
「……え?」
も……元カレええぇっ!?
まぁ不思議なことではない。何せキースは俺と出会う前は別の男とセックス……したりしてたんだもんな……?俺と出会ってからは俺一筋だけど……。そもそもキースは今まで寝てきた相手とは本気じゃなかったはずである。
お金を渡して相手をしてもらうだけの関係だったはずだ……。
だからそう言う相手が現れても不思議じゃないけど……この子……そもそも年下過ぎないっ!?これはつまりは年上の家庭教師のお兄さん×高校生くんくらいの衝撃を与えるカップリングううぅっ!?この世界の成人は15歳と聞くけれど、キースはいつ手を出したんだ。まさか倫理的にに不味い年齢で手は出していないよね!?
「その……今日は、どうしてこちらに……?」
「キースさんに会いにきたんです」
そりゃそうだよね……!?元カレなんだから……!
「入れてくれますよね?奥さん?」
うぐ……っ、俺が夫だってことも分かってて……っ!?つまりこれは……宣戦布告ううぅっ!?
「実は邸の中に、ぼくの忘れ物もあるんです。探したいので」
そう言われてしまえば、入れないわけにもいかない……。
「だが断る……っ!」
「え、そんな……っ」
ふ……っ。狼狽えているな……?知っているか?いや知らんだろう。元ヤンとしてはそう言うおどおどっ子なんぞ敵じゃねぇっ!
「嫁がいる前でえぇ度胸してんじゃねぇか!ナメてっとしばいたろかケツぶり子ォッ」
殻の中で燻っていた元ヤンの記憶が俺の中で弾け、そして猛威をふるう……!
「えぇ……っ、そう言うキャラ!?聞いてないよ……っ!」
誰から聞いたの、それ。
「でもあなたよりもぼくの方がかわいいから、キースもぼくを思い出せばきっと、よりを戻してくれると思うんだけどぉ……」
ぶりっ子追加してきたぁっ!?確かにこの子美人だけど……っ!
「そんならお前はキースの巨大ちんこタワーを受け入れられんのかっ!?」
こうなりゃ最終手段!俺はこの自分の尻に……絶対の自信を持っている……!
「そ……それは……っ、お兄さまのちんことかマジ無理だよぉ……っ!」
ん……?今この子、何つった……?
そして後ろからぽすりと抱き締めて来た熱は、もちろん……。
「キース……?お帰り」
キースしかいないよなぁ?
「ただいま。……で?シャロンは何しに来たんだ?」
シャロンくんって言うんだ。しかし……。
「お前の昔のイロなんだと」
何かさっき、『お兄さま』って言ってた気がするけど。
「へぇ……?いい度胸してんじゃん。今ここに、いいもんがある」
キースが取り出したのは先端に卑猥なドリルの付いた大人のオモチャ!?てか何つーもんを持って帰って来てんだこの男はっ!
「でもなるほどその方が太いし折れないからいいかも!」
「だろう?心行くまで試せるぞ」
そう言ってキースがニヤリと笑む。そしてその時だった。
「冗談言って本当にごめんなさい!謝るから許してあとぼくはタチ専なんで――――っ!!」
そしてシャロンくんが玄関先で華麗なスライディング土下座をキメていた。
つーかかわいい顔して攻めかよこの子ぉっ!
さて、思わぬところで墓穴を掘ったシャロンくんに、コーヒーを出してあげて、シャロンくんの向かいに俺たちも腰をおろした。
「えーと、改めまして。キースお兄さまの弟のシャロン・フォン・ノワール。ノワール公爵令息です」
うん、さっき『お兄さま』とか呼んでたもんなぁ……?
つか公爵……?キースの実家って公爵家だったの……?それって結構な家柄では。
「この度はシュカさんに大変失礼をいたしました。こちら、お詫びと言うか手土産です」
あ、素は割りとしっかりとした子だな。お菓子の手土産をもらった。
「んで?お前は何しに来たんだよ」
「あぁ、そのことなんですが」
改めて俺たちに向き直る。
「実はお父さまから頼まれまして。キースお兄さまがシュカさんと結婚したのに、キースさんを一向に実家に連れてこないので様子を見て来いと」
そう言えば俺、キースと結婚したのに……そのご両親には挨拶をしていない……!これって不味いんじゃ……。
「別にいいだろ。俺は跡継ぎじゃないし」
つまりはシャロンくんが継ぐってこと……?
「でもキース、やっぱりご挨拶くらいは……」
「ダメだ」
キースがこうまで頑ななのも珍しいな……?一体どうして……。
「来ないなら行くってお母さまが」
「はぁ……仕方ねぇな……3日後なら、空いてる」
簡単に折れた!?お母さん効果かな……っ!?
つかキース!?つまり3日後に、会いに行くと言うこと。キースのご両親に挨拶に……っ。
「やったぁ!早速お父さまとお母さまに報せないと!」
「でもお前が俺の元カレ騙ったことは、お前の母ちゃんにチクっとくからな」
「そ、それは勘弁して、お兄さま……っ」
「だーめ」
「ひいぃっ」
キースも容赦ないなぁ……ははははは……。
しかし……キースの言葉に何か引っ掛かるところがあった気がするのだが。気のせいだろうか……?
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