朝チュン

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朝チュン

――――チュンチュンと鳴く小鳥が目覚めの合図を送ってくる。 てか……ここどこ。いや、そう言えば昨日俺……キースにナンパされて付いていって……セックスして……それからいつの間にか寝てしまったんだった。 「……朝か」 明らかにぎゅむと抱き締められている俺の身体。昨夜は予想以上にハッスルして……注がれて、注がれまくったあと……記憶がない。 さらに何故か俺の身体を抱き締めているキースの頭には……まるで魔王みたいな歪んだ竜の角が生えている。 しっぽも……生えてるみたい。翼は格納しているようだが。 ――――そもそも、何者なんだろうか、この男。デカチンの件もあるしなぁ……? しかし、俺とキースはたった一夜だけの関係だ。詳しく聞くのもアレだな。 キースの腕から抜け出して……あとはお金もらっておさらばしなくては。 ――――しかし。 「はずれん」 どうやってもキースの腕がはずれない。俺の身体を包み込むキースの腕は動かせないし、外れないし~~~~っ!? 潜り抜けて下に抜けようとも思ったが、まず抜けない。上にも抜けないし、ついついバタバタと脚を動かせば、キースの脚が俺の脚を逃さないとばかりに絡まってくる。 ――――さらには……。 股間にナニかをずりずりと押し付けられる~~っ!?いや、明らかにキースのナニだけども! 「うおぉい、起きろぉっ!?そろそろぉっ!もう朝なんだから、いい加減放せ!俺たちの関係は一夜限りだ!とっとと報酬寄越せやあぁぁっ!」 力いっぱいに叫べば、不意にキースの瞼が開く。 「ん……っ、しゅか……。かわいいこと、やってくれてると思ってたけど」 まさか……コイツ元々起きてたのか!? 「一夜限りだなんて言うなよ……なぁ?」 「いや、でも……そう言う話だったし……」 「予定変更だ」 「はい?」 「シュカ、シュカは俺の番だ」 そういや、昨日もそう言っていたっけ……? 「俺の嫁になれよ」 「……は?」 は……?え……?はい……? 何?ヨメ……?ヨメって、あの嫁……?な、何で俺が嫁――――っ!?急展開にもほどがあんだろ!俺は行きずりの男では!? 「追加報酬の話、しただろ?俺の嫁になりゃぁ、白金貨……好きなだけ使っていいぞ?」 「いや、あの……その……俺……アラサーなんだけど」 今さらだが。抱かせておいてなんだが、あの時は色々と人生の危機だったし、なりふり構っていられなかったんだ。ちょっと童顔に見えるこの顔も、見えればラッキーだと思って覚悟を決めてみたまでだ。 しかし……結婚とか……嫁になれとか言われたらさすがに黙っているわけにはいかないだろう!?しかし……今さらカミングアウトしたら、怒るだろうか……?報酬、減らされるだろうか……?でも、年齢は聞かれなかったし、キースが勝手に思っただけたろ……?だから……。しかし意外にもキースは怒ってはいない。それどころかきょとんとしている。 「あらさぁって……何?」 こ、こっちの世界にはなかった言葉か……。なら、改めて説明するしかあるまい。 「その、もうすぐ30歳だから。27なの、俺は」 ぴっちぴちの生きのいい受けではないのだ。むしろそれなのに昨晩の1泊を勝ち取れたのは奇跡であろう……? 「俺、32歳だけど。年下がいいのか?」 いや、キースからは何となく年上っぽい余裕は感じたけど。 「そう言う訳じゃないけど……」 キースって32歳なんだ。それにしては結構落ち着き払ってると言うか……同じ大人なのに差を感じてしまう。 「その……同い年か……年上がいいかな」 むしろキースがドストライク。 「じゃぁ……俺は?どう答えたって放す気なんてねぇけど」 それは現在進行形で腕でも脚でも抱き締められているのを放さないと言うことか!? 「いや、もっと若い男がいいとかないのか?」 こう言う場合、若くてぴちぴちなかわいい受けを好む攻めだっているだろう。 「何で?俺はシュカがいい。年齢なんて関係ねぇだろ?シュカだから……いいんだろ」 はううぁぅんっ!?何そのスパダリ感満載超甘台詞~~っ! 「いや……でもあの……結婚するってんなら……いくつか聞いてからにしたいんだけど」 「それは構わねぇけど……答えた後も逃がしゃぁしねぇから」 そう言って長い舌で舌なめずりをした挙げ句。れろぉっと俺の頬を嘗めあげてくるうぅ~~っ!? 「あ……っ、いきなり何を……っ」 「シュカぁ……俺の何が聞きたい?」 ゴリゴリと股間を押し当てながら、キースが微笑む。くあぁぁっ!? 「あん……っ、まず、股間、とめてっ」 「無理……シュカが最初に煽ってきたんだぜ?」 そんなの知りませんけどぉ――――っ!? 「で?何が聞きたいんだ?」 そう言って今度は頬擦りをしてきたかと思えば、耳をれろりと嘗めあげ、甘く蕩けるような吐息を吹かせてくる。 「んぁ……っ!?そこ、ダメっ」 「気持ちぃ……?シュカぁ……っ」 しかも声まで抜群にエッロおぉぉっ! 「はぁ~~……挿れてぇ……」 どこに、ナニを!? 「シュカのナカに、挿入(はい)りてぇ」 「そ……それ止めてちゃんと質問に答えたらな……!?」 「……溜めるとガッツきそ……」 今何やら恐ろしい言葉が聞こえた気がするのだが……一応は止まった。 「キースは何者何だ……?竜……なのか?」 その、外見は。 「あぁ……ほんとに知らなかったのな……?本名はキース・フォン・ノワール。貴族の出だが跡取りではないから、冒険者をしている」 まさかの貴族の出身――――っ!?しかも冒険者って……。 「そして竜人の血を引いている。竜人は剣や魔法のステータスもピカイチだが……それ以上に番と言う概念への本能が強く、番を見付ければ一生囲い混んで執着するものだ。俺の番は……シュカだ」 「……はい?そんな証拠は……」 「俺のスキル魅了効かなかったじゃん」 「そんなスキル持ってたのか!?」 「そうそう、そゆこと。ナンパしても逆に金額交渉してきたし。魅了のスキル持ちだからか、俺の体液も魅了のスキルを帯びていて、ぜぇんぶ媚液だ」 「はいっ!?」 「普通はキスだけでも蕩けて、会話もままならなくなるんだがな……?朝起きても酔ったような状態から暫く戻らないはずなのになぁ……?」 こっええぇよっ!?何その媚液ぃっ! 「まぁ……それでも金は渡すつもりだったよ?でも俺の蜜まで下で呑み込むだなんて思わねぇだろ……?俺のを全部咥えて、蜜まで飲み干したんだから……番にしねぇわけにはいかねぇじゃん。あとお前……」 「ん?」 「めっちゃ顔タイプ……っ」 それは俺も――――っ!!?でもこんな平凡な顔でもいいのか?いや、イケメンならタイプってのも違う。キラキラ王子さま系イケメンが来ても、俺のタイプではないし。 と言うわけでつまり、お互い一目惚れ!?そして身体の相性までピッタリだったってこと……っ。 そんな奇跡のようなワンナイトラブ……アリなのか……っ!しかもワンナイトでは終わらないと……っ! 「さて、答えたんだから……朝からもう1ラウンドしようか」 「はい……!?その、予定とかは……っ」 「今日はオフだから……シュカの腰が立たなくなって一生俺の元から逃げられないようにしとかないと……な?」 「……はい!?」 まさかの……物理的にも囲い込み~~っ!? ――――そしてもちろんその後は第2ラウンドが幕を明け……一日中まぐわりあった。 もちろん俺の腰は……完全に落ちた。
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