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ダンジョンデート
攻めさまと裸で大きなベッドの上で2人きり。なにこの何千何万回地球で妄想したんだ朝チュンセットは。
今では当たり前のような光景である。しかも俺の定位置は壁じゃなくてベッドの上攻めさまの隣。
……因みにもうお昼だ。
「ダンジョン……?」
しかし話題は意外にも、異世界冒険ファンタジーものである。
「そう、ダンジョンだ。せっかくシュカも冒険者登録したんだ。明日はシュカとデートするために1日予定を探索用に開けてある」
デートが……ダンジョン!?これもこの世界あるあるなのだろうか……?と言うか身分証のほかにも、ダンジョンデートのために……!?しかしダンジョンデートとは……異世界では普通のことなのだろうか……?
しかし次の瞬間、俺は絶句した。
「だから選んでくれ。この3つのダンジョンだ」
キースが枕の上に腕で3角形を描きながら頬杖を付き、朝チュンでお馴染みスーパー攻めさまポーズをキメながら、俺との間の聖域に並べたのは3つのパンフに。
こちらの世界には、ダンジョンのパンフまであるのか。うん、そこまではいい。むしろありがたいサービスである。
しかしそのパンフの上には……。
【触手ぬるぬる!ヌルルビョンダンジョン】
【エロトラップ尽くめ!エロトリリンガルダンジョン】
【ナチュラルアダルトグッズの宝庫!ハメトゥーリエーヴィーダンジョン】
「……はい!?」
あからさまにヤバい名称の連続なんだけど!?ダンジョンの名前も名前だが……。
「全部エロ特化型じゃねぇかっ!」
「あぁ!シュカのためにこのSS級冒険者の俺が厳選した3選だ!」
よくも3選もあったなエロ特化型ダンジョン。つーか、この男は全体的にSS級の使いドコロを間違っていると思うんだが。
確かに俺は魔法の才はこれから期待、戦闘力は気合いだけは充分で合格点をもらった。しかめSS級冒険者の指南つきという、ある意味チート主人公よりも魅力的な特典のつきで。しかし……。
「いや、つーかこんなエロダンジョンで何しようって言うんだ。普通ダンジョンってさ、魔物倒してお宝見付けてダンジョンボス倒してフィニッシュじゃないの?」
「え……?」
このSS級エロ冒険者は、ダンジョンを何だと思っているのだろう。――――と言うかこの世界のダンジョンとは元々こう言う……っ!?いやいやそんなバカな!?
「暗がり見付けて押し倒して、秘部をまさぐって、挿入、そしてフィニッシュだろ」
どったーんっ!!
「本当なら、100階層以上のダンジョンにしたかったんだが、シュカは一番下のランクだからって許可がおりなかったんだ」
「いやいや、ちょっと待ていっ!!何じゃい100階層以上とか!ダンジョン初心者が行くところじゃねぇわっ!」
そんなの一部のチート主人公しか無理です!喧嘩は無双したけどこっちは次元が違うしキースに全然効かないいいぃっ!!!
いや、そもそもキースがチートだけどな!?
「俺が一緒なんだぜ?何を臆することがある」
「臆するわっ!ダンジョンにエロしか求めてないチート冒険者とだったら臆するわっ!」
「え……?」
何を固まってるんだこの男は。
「ダンジョンにエロ以外、何を求めろって言うんだ……!」
「いや夢と冒険とロマンだろっ!!」
「夢と冒険とロマンだろ?」
「ある意味な!?でも俺が言ってるのは健全な夢と冒険とロマンですうぅぅっ!」
「健全……っ、だと……っ!?そんなダンジョン、ただのダンジョンじゃねぇかっ!」
「ただのダンジョンでいいんだよ!普通のダンジョンで!」
「……ふむ」
「どうしたキース。今度はどうした」
「普通のダンジョンなら……おもちゃ持ってくか……それともダンジョンの中心で、羞恥プレイ」
「いやいや、何か思わぬ方向に行ってない!?普通のダンジョンでの応用方法真面目に考えるな!あと羞恥プレイはお断り!ダンジョンは公共の場所だぞ、何考えてんの!!」
「心配すんな、シュカ。マジックミラー結界張って、周りから俺たちは見えなくする。むしろ、俺の腕に抱かれてかわいく鳴くシュカを周囲に見せてやる義理はねぇ」
「何かカッコいいこと言ってるようだけど、スパダリ攻めさまっぽいけど、考えてることが完全にエロ特化型!」
「それ以外に何があるって言うんだ……っ!」
「だから健全な……あ、そういやキース」
「ん?」
「思ったんだけどさ、100階層以上あったら逆にそう言うの無理じゃね?強大な魔物が巣くっていたり、戦々恐々なトラップがあったり、あと、モンスターハウスみたいな……?」
ゲーム画面の向こうからでもモンスターハウスに嵌まった瞬間はドッキーンとするのだ。そのうち強くなったらモンスターハウスが来た瞬間よっしゃぁレベル上げお宝ザックザク――――っ!と、テンションが上がる謎の戦闘狂となるのだが。――――まさかキース……おぬしもか!?
「あぁ、そこら辺のダンジョンには未踏派エリアとか、隠し部屋がたくさんあるからな。隙を見てやり放題だ」
難解ダンジョンに対して何つー煩悩抱いてんの、このひと。
あと絶対本来の使用方法と違ぇわ。
「行くダンジョンは、明日シエルさんに相談して決めようか」
「ヤダぁ――――っ!そしたら普通の定期調査クエストにされるじゃん――――っ!」
「いいだろ、それで」
俺も一緒でいいのなら、是非とも。
「クエストとか、楽しみだなぁ~~」
「ふぐぅ……っ」
キースは布団の中で暫くめそめそしていたものの、チャーハン作ると言ったら渋々大人しく布団から出てきた。
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