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ダンジョン探索
――――翌朝・冒険者ギルド
「じゃぁこの定期調査クエストお願いします。C級ダンジョンですけど、キースさんが一緒ならシュカさんも行っていいですよ。神子だし」
神子……は、特にそんな役に立たないとは思うけど、キースが強いのは本当なんだろうし。
受付でシエルさんから提示されたクエストメニューを、端末にデータで受け取ったキースがぐえっとしながら眺めている。
この世界、電子機器などが結構発達してるんだよな。まぁ原動力は魔力なので、魔力機器ではあるが。
「これ普通のダンジョンじゃんエロトラップないじゃん」
「何でエロ特化型ありきなんだこのエロ冒険者!」
シエルさんの言う通り……なのだが。
「今時の冒険者のクエストって紙じゃないんですね」
「紙もありますよ?欲しいなら印刷します」
「こっちの方がステータスとも紐付くからなくさねぇじゃん。あと、パーティー登録したらみんなそれぞれ見れるし」
どんだけ電子化進んでるんだこの異世界――――っ!いや、それでも魔法で成り立っているから、正確には魔法科学技術みたいなくくりなんだろうか。
「はぁ……やっぱり定期調査クエストか」
「そんなに嫌なのか……?嫌がられるのって、スライムに服溶かされるクエストとか、回収する時に即死級の嬌声放ってくる素材採集クエストとかじゃないのか?それよりも?」
「それは……エロダンジョン探索か……?最高すぎる……!」
「違うわぁっ!スライム……はあるかもしれないが後者即死級だぞ……っ!」
「シュカの嬌声はいつも俺にクリティカルヒットだぜ?」
そんな補足情報いりませんが……っ!?
「はいはい、そんなエロクエストはないから!お前は普通に定期調査クエストしてこい」
ないの……?まぁないならないで安心だけど。
「……ったく、しゃぁねぇなぁ」
「結果どんなクエストなの?」
「高ランク冒険者が定期的にダンジョンを踏破して、異常がないか、ランクが適正かを調査する……退屈なクエストだ」
「大事なクエストだよ……!」
うん……まぁ、安全のためならシエルさんの言うことも分かるわな。
※※※
ところで……ダンジョンまではどうやって行くのだろう?近いのかな。冒険者ギルドを出た時。背中の後ろでバサリと翼が広がった音が……した?
「キース?」
の……竜の翼か……?
「んじゃぁ行くか」
その瞬間、足元がふわりと浮き上がり、キースに抱き抱えあげられたのだと気が付く。
「ちょ、キー……」
しかもそれでは終わらない……!
「ギャ――――っ!?」
瞬く間に上昇し、空中に、空の上に浮いてるううぅぅ――――っ!?
「何だ、さっき言ってた嬌声か……?相変わらずかわいいな、シュカ」
「いや、俺はマンドラゴラじゃねぇわっ!」
「ん?チンドラゴラ?」
「何か別なモノになってるううぅぅ――――っ!たか、何!?飛んでくの!?」
「なかなかいいだろう?」
いや、まぁ……空の旅と言うのも……悪くはない。
――――けども。
「一応聞いておくが、エロいこととか考えてないよな!?空中で……!」
いつでもどこでもエロいことを考えてる!そして始める!それが……キースである!
こうして空中飛行しているものの……。
「……それは考えてなかった。だが……いいな……!」
「……っ!?」
まさか俺、墓穴掘ったぁ――――っ!?
そして快晴だと言うのにキスや愛撫の嵐。なんとも濃厚なスキンシップを注がれてしまった。
しかしそうこうしていたら、目的地のダンジョンについたようだ。
そしてキースの急降下に哀れな俺のチンドラゴラの悲鳴が響いたけども。
「やっぱり急降下楽しい――――――――っ!」
「ギャ――――――っ!!?お前頭おかしいだろおおおぉぉぉ――――――――っ!あぎゃ――――――っ!!?」
※
キースの急降下から着陸し、暫く息を整え……改めまして……!
「これが異世界初ダンジョン……!」
「初……初か」
「キース?」
「やっぱり初体験だ……!エロダンジョンじゃないのがこの上なく……惜しい!」
「ちっとも惜しくねぇよ、このエロ冒険者」
「くぅ……っ!触手ぬりゅぬりゅ、ドロッピングエッチなおもちゃ、ドエロトラップうううぅぅっ!」
周囲の冒険者と見られるひとたちがちらちらとこちらを見てるから!あんまり外で堂々と恥ずかしいこと叫ぶなぁ~~っ!
しかしこの世界のダンジョンと言うものは。
「もっと洞窟の入口のようなものを想像していたんだけど、扉がついているんだ」
見た目は洞窟……に見えるが、その入口には両開きの扉がついている。
「扉がないとダンジョンって判断できねぇじゃん?」
それは確かにそうだが、この世界ではそう言うものなのだろうか……?
「あと……洞窟以外にも色々ある。木の洞とか、岩穴とか、遺跡とか」
「遺跡……普通の扉と間違ったりしないの?」
「ちゃんとダンジョンって書いてある」
マジかよ。いや、マジだわ。扉の横に看板付いてるもんね!
そしてさらにキースが電子パンフをくれたので、モニターに出しながら進むこととした。
ダンジョンの内部はと言うと。てくてくと歩いていく分にはいかにもなファンタジー異世界のダンジョンの岩壁が続いている。
誰がつけたのか、いや考えたら負けなのか、ダンジョン内を照らす篝火。
それから時折湧く魔物……は、キースが倒してくれるけど。
「Cランク相当のダンジョンって、どんなレベルなんだ?階層ってどのくらい?」
「んー……100階層以内が多いが、階層のしばりはない。ダンジョン内のトラップや魔物の強さなんかで判断する。ダンジョンによっては階層によってランクが分かれているものもある。だがここは……30階層くらいの比較的冒険しやすいダンジョンだ」
「確かにそのくらいなら……」
と、頷いた時、目の前から何か飛んでくるっ!?魔物ぉっ!?
「今シュカとしゃべってんだろうがっ!邪魔ぁっ!!」
ひぇっ!?キースが拳ひとつで木っ端微塵にしたぁ――――っ!
「……ったく……」
まだ不満そうにしながらも、キースが魔物をさくさく捌いて……自前のマジックボックスに突っ込む。ほんと……あんなのまで持ってるなんて、キースは本当にチートである。やっぱりSS級冒険者だもんなぁ。
「なぁ、キース。宝箱なんかもあるのか?」
「あるぞ。あそこ」
少し広いスペースに出たところで。キースが指差した先には。
キースが言ったとおり……宝箱があった……!
「わーい、開くのかな?」
カパッ。
わ、開いた……!
「シュカ、それは罠だから開けない方がいいぞ?」
いや早く言ってぇ――――っ!もう開けちゃったじゃんんんっ!?
そして宝箱の中から黒いものが飛び出てきて、鋭い牙を生やした口をこちらに向けてく……。
バコン……ッ!!
宝箱は一瞬にして破壊されていた。
――――キースの拳によって。
「シュカに噛みついていいのは俺だけだ」
そう言う問題じゃねえええぇっ!しかし……助かった。
「あ、ありがとう……キース」
「シュカ」
そしてキースが俺を優しく抱き締める。安心させようとしてくれているのか……キースったら優しいところがあるなぁ……。
しかし、耳元に妖艶な吐息が吹きかかる。
「シュカに俺の噛み痕……つけてぇな……?」
はい――――っ!?
「な、そろそろヤらねぇ?」
やっぱり終始エロいことしか考えてねぇ~~っ!キースが付いていればどんな魔物も宝箱トラップもへっちゃらだ!しかし、常にエロいことをねだってくるぞ……!
――――しかしだな。
助けてくれたわけだし……。今は周りにひとはいない。
「め、目立たないところなら……」
襟元のファスナーを下ろして、そっと首筋を見せる。
「シュカはそこがいいんだな?」
ニッコォリ……。俺の耳元から顔を起こし、ものっそいニッコリしながら見つめてくるうぅっ!
ギクッ。
いやそれは……噛むと言えばそんなイメージがあるだけで……。
しかし……キースからはしっかりとマーキングされて……マーキングされて……マーキング延長……。ちょ……つけすぎでは!?さすがにもう……。
――――と、その時。通路の先から、話し声が聴こえる……!ひ……っ、ほかの冒険者ぁっ!?
「こら、キース!もう終わり!」
「ん?何で……?」
俺の首筋を舌で嘗めあげながら、キースが甘えるような声を響かせる。
「誰か来たから!見られちゃう!」
「マジックミラー結界張ってある」
エロ用結界張ればいいってもんじゃねぇっ!
「ダメ!こら、クエストの途中でしょうが!シエルさんに言い付けますよ!!」
「いや何であいつに……いやグレンの耳には確実に入るか」
そうなの?やっぱキースが凄腕冒険者だからか?
「だから!クエストの続き!」
「んー……しゃぁねぇか」
ふぅ……やっとクエストに戻れる――――。
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