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四つ葉のクローバのピアス
「もし、あのときパパに出会えてなかったら半グレたちに食い物にされて、どうなっていたか」
ハニーは苦笑いを浮かべ、大事そうに四つ葉のクローバのピアスをアクセサリーケースへ仕舞った。
『フフゥン、ハニーは泣き顔よりも笑顔の方が似合うからな。それじゃァこのピアスをつけてあげようかな』
首領は優しく微笑んだ。丁寧にピアスをハニーの耳へつけた。
「ええェ、ありがとう」
『四つ葉のクローバは幸運を招くらしいからな。まァ、チャチな安物だから御利益があったかどうか、わからんがな』
「ううゥン、パパのおかげよ。あの夜、パパ活でアナタと会ってから私とパパの運命が回りだしたのよ。じゃァなかったら今ごろ」
ハニーは首領に抱きついて口づけを交わした。
『フフゥン、か弱い女性を食い物にするようなヤツらは我輩の率いる悪の秘密結社『ギルディア』が許しはしない!』
「そうね。パパは戦争や飢餓で苦しむ子どもたちが笑顔で暮らせるような……。そんな世界を創るために、悪の秘密結社を築いたんですものね」
ハニーがしみじみとつぶやいた。
『ううゥむ』
「そうだ。パパ。一緒にお風呂入りましょ」
ハニーは首領に甘えてバスルームへ誘った。
『えェ、お風呂か?』
「そうよ。早く早く」
うまくハニーはバスルームへ首領を押し込んだ。
彼女は笑顔のままベッドの下に隠れている星優真に後ろ手で部屋を出るようにサインを送った。
「……」星優真は無言でうなずいた。
こうして後妻のハニーと首領の側近、星優真との秘密の関係は継続することとなった。
めでたしめでたし
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