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ハニートラップ
情けなく首領は頭を下げて謝った。
「じゃァわかったわよ。取り敢えず、どんな余ったポンコツ怪人でも構わないから正義の味方の間近で私を襲って来てよ」
『ぬうッ、余ったポンコツ怪人か』
首領はアゴに手をやり不本意ながらうなずいた。
「私は命からがらポンコツ怪人から逃げる振りをしてジャスティンに助けを求めるから」
『ほほォ…、なるほど窮地に陥ったハニーがジャスティンに救けられ、介抱されているトコを愛娘のアンジェラに見せつけると言う算段か?』
ようやく首領も計画を理解した。
「そうよ。私がジャスティンを誘惑してイチャイチャしている所へアンジェラちゃんを呼び寄せて、うまいこと鉢合わせさせるのよ」
ハニーは笑みを浮かべウインクをした。オーソドックスだが、なかなかクレバーな作戦だ。
『ぬうッううゥ…、確かに』
また首領も腕を組んで考え込んだ。
それならうまくいくかもしれない。しかし愛する後妻のハニーが正義の味方とイチャイチャするのは新婚の彼としても面白くない。
その時、床のカーペットに光るモノが視界に入った。
『ン、なんじゃァ、これは?』
首領は身体を屈めてカーペットを覗き込もうとした。
すぐ間近のベッドの下には側近の星優真が隠れているのだ。
「……」星優真は懸命にベッドの下で身を縮めていた。
しかしこのままでは首領に見つかる可能性もある。
「……」
側近の星優真も見つかりそうで心配だ。ここで見つかれば言い逃れは出来ない。
「あッパパ。どうしたのよ」
ハニーはベッドの上からわざと大げさなジェスチャーをつけて首領の背中へ抱きついた。
『ン?』
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