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四つ葉のクローバのピアス
『ン?』
あと一瞬でも遅かったらベッドの下に隠れている星優真は見つかっただろう。
『なんだ。ハニー』
だが首領は後妻のハニーに気を取られ、ベッドの下を覗き込むことはなかった。
「フフゥン、なにか落ちてたの?」
ハニーもなんとか気を引こうと懸命だ。
無理やり首領の顔を両手で挟んで自分の方へ向けさせた。
『ううゥむ、ちょっとカーペットに光るモノを見つけてな』
首領は顔をハニーに向けたまま、手探りの状態でカーペットの上からアクセサリーをつまんだ。
「えェ、光るモノ?」
『ああァこれじゃよ』
どうやら拾ったモノはシルバーの四つ葉のクローバのピアスのようだ。
「これは……?」ハニーは驚いた。
『ン、ああァなんだ。安モノのピアスか?』
しかし首領はつまんだシルバーのピアスを見て少しガッカリしたみたいだ。
チャチなオモチャのアクセサリーだろう。
『フン』
すぐにゴミ箱へ捨てようとした。
「あッ、ちょっとダメよ。捨てちゃ。これはパパと初めてデートした時に買って貰った四つ葉のクローバのピアスじゃん」
『ふぅん、そうだったかな?』
首領はあまりよく覚えていない。
「ほらァ露店のアクセサリー屋さんで」
『あ、ああァ、じゃァやっぱ安モノだろう。あんな露店のアクセサリーなんて』
ようやく思い出したモノのバッタもんの露店だ。ろくなモノではないだろう。
「良いの。値段じゃないわ。これは私の宝物なんだから」
『はァ、宝物?』
「そうよ。ホストの元彼氏に騙されて借金を背負わされてパパ活を始めた時、デートで買って貰ったんじゃん」
『フフッそうだったかなァ』
だが首領はあまり詳細には覚えていない。
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