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ベガ閣下
「えェ、閣下にですか?」
「そうッ、高校を卒業してからポチは消息を絶ったでしょ」
「すみません。妹の治療費を稼ぐためにギルディアに就職して」
「そうポチも大変だったのね。私もその後、付き合った元彼氏が酷くって」
「うッうゥッ酷い?」
「ええェ、イケメンでホストだったらしくて。上辺は優しくて物腰も柔らかくて口も達者だったんで付き合い始めたんだけど。そいつに騙されて保証人にされ莫大な借金を背負わされたの。その時、借金返済のためにパパ活したのよ」
「えッ、パパ活ですか?」
「ええェ……」
「じゃァもしかしてそのパパ活の相手が閣下だったんですか?」
「そうッ、あの人に頭をポンポンされても、不思議とイヤな気にならなかったな。今は何かと問題じゃん」
「はァ、どっかの町長が若い女性職員に頭をポンポンして、セクハラに認定されて辞任に追い込まれましたからねェ」
「ウン、お金だけじゃなくパパには、いろいろとお世話になったし」
「はァいろいろ?」
「ええェ…、詐欺同然で逃げた元カレを訴えても警察はまったく動いてくれなかったけど秘密結社はすぐに元彼氏の行方を突き止めてくれたわ。そして捕まえて、ケジメをつけたのよ!」
「ケジメ?」
「そう、半グレたちが裏でイトを引いていたのよ。その半グレたちを壊滅してくれたの。秘密結社らが!」
「それじゃ、まるで正義の味方じゃないですか」
「ええ、私にとっては警察なんかよりもずっと頼りになるわ。秘密結社ギルディアも旦那も」
「それがハニーと閣下との馴れ初めですか?」
「そうよ。それから私が大学へ進学するため援助をしてくれたの」
「なるほど、それで結婚に至ったというワケですか?」
「ええェッカレは前の奥様と離婚して、私を後妻に迎え入れてくれたのよ」
「そうだったんですか。閣下はどっちかって言えば怖モテですが優しくて義理人情にアツい方ですからね」
「そうね。密かに恵まれない子たちを秘密結社が援助しているのよ」
「なるほど。裏金工作をして脱税を繰り返すどっかの国の政権与党よりずっとボランティア活動に力を注いでますからね。ウチの秘密結社は」
「フフゥン、まァねえェ」
ハニーは意味深に微笑んだ。
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