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ハニー
「フフゥン、まァねえェ……」
ハニーは意味深に微笑んだ。
「ボクの妹の治療費も肩代わりして貰ったし閣下には頭が上がりませんよ」
しきりに星優真も感謝していた。しんみりとした気分だ。
「そうね。パパは困った人を放っておけないタイプの悪の秘密結社のフィクサーだから」
「ええェ、ですからボクも閣下の側近として是非とも世界征服の一翼を担いたいんです」
「フフゥン、ポチがいてくれて力強いわ」
ハニーは笑みを浮かべうなずいた。
「いや、ポチじゃァありませんよ。星です。星優真ですから!」
「フフッ、あの旦那が留守の時は、これからもいろいろと宜しくねえェ!」
元彼女のハニーが悩ましげに誘惑してくる。今にもキスをしそうな気配だ。
「いやいや、いろいろって。ちょっとヤバいですよ。ハ、ハニー…さん」
優真は側近として首領からも信頼がアツい。いくら元彼女とはいえ、ここで後妻のハニーに手を出せばゲス不倫になってしまう。ボスの信頼を裏切る行為だ。
「ちょッちょっと」
星優真もドキドキして気が気でない。
しかもここで悪の首領が屋敷へ帰宅すればバッティングしてしまうだろう。
たとえ何もなくても、こんなトコを悪の黒幕・ベガに見られれば血の雨が降りかねない。
そして案の定、嫌な予感が的中した。
不意に屋敷のインターフォンが鳴り響いた。
『帰ったぞォ。ハニー!』
屋敷に秘密結社『ギルディア』の首領ベガが帰ってきたのだ。
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