ハニー

1/1
前へ
/12ページ
次へ

ハニー

『帰ったぞォ。ハニー!』  屋敷へ秘密結社『ギルディア』の首領ベガが陽気に帰宅してきたのだ。 「わァ、ベッベガ閣下だ。ヤバい」  慌てて星優真はベッドの上から飛び降りた。こんな所を首領に見つかったら一大事だ。下手をすれば命がないかもしれない。 「もう、早く隠れて」ハニーはアゴで星優真を指示した。 「ハッハイ、そうですねェ」  彼女に言われなくてもわかっている。  だがキョロキョロ見回してもどこへ隠れれれば良いのだろうか。ソファの下か。それとも他に隠れる所があるのだろうか。探し回っているとハニーに腕を引っ張られた。 「ほらァ何してるのよ。こっちよ。ベッドの下!」  ハニーは星優真の手を引き指図をした。 「あッハイ」  すぐに星優真はベッドの下へ潜り込んだ。なんとかひとり分のスペースが空いていた。 『ハニー、どこだ。ハニー!』  リビングの方から首領の声が聞こえてきた。バタバタと歩き回る音もした。どうやら首領は屋敷の中を探しているようだ。  すぐに寝室のドアが開いた。 『おおォ、ハニー。どうした。こんな時間からヤケに色っぽいカッコウだなァ』  首領はハニーの薄いピンクのナイトウェアを見つけて微笑んだ。何とも艶めかしい姿だ。 「フフゥン、ああァら、パパ。今日は、ちゃんとトイレットペーパーは買ってきたの?」  ハニーはベッドの上で軽くストレッチをしながら訊いた。  なんとか隠れている星優真の事をごまかすためだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加