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娘の彼氏は正義の味方
ベッド下の星優真は気が気ではない。
「ふぅん、じゃァポチでなかったら、私の知らない人なのかしらァ?」
『ううゥむ、まァ、一般的にはよく知られておるかなァ』
「え、マジで。じゃァ有名人なの?」
ミーハーなのか、食いついた。
『ううゥむ、まァ、有名人と言えばそうかな』
「ふぅん、じゃァ芸能人。イケメン俳優か、なにかなの?」
ハニーは興味津々に聞き返した。
『いやァ、アイツは決してイケメンではないが』
断固、首領は彼氏をイケメンだと認めようとしない。
「なァんだ。そこいらのブサイクな彼氏なの。何してるの。その彼氏って?」
一気に興味が薄れたようだ。
『いや、まァ取り敢えず正義の味方みたいな事を』
「えッ正義の味方みたいって。まさかジャスティン?」
『ううゥン、まァそうじゃ、我がギルディアの宿敵、ジャスティンじゃァ!』
「マジで。ヤバくなァい。それってェ?」
『ぬううゥ、ああァ』
首領は腕を組み、また大きくため息をついた。
「アンジェラちゃんが正義の味方ジャスティンと交際してたらマジでヤバいでしょ」
『そりゃァヤバいよ。悪の秘密結社の黒幕の娘の彼氏が寄りにもよって正義の味方だなんて』
「前代未聞よね」
『そうじゃなァ。こんなスキャンダルが知られたら我が悪の秘密結社の士気にも関わるし、第一、ネットは炎上間違いなしなのじゃァ』
「フフゥン、だいたいギルディアの宿敵なでしょう。正義の味方ジャスティンって」
『そうじゃ。だから我輩も困っているんじゃァ』
首領も困惑ぎみに頭を抱えた。
「へえェッ、アンジェラちゃんもやるわね。ジャスティンって言えば正統派のイケメンで有名な正義の味方じゃん」
『いやいや、ジャスティンのビジュアルは大したことはない。ルックスは我輩より遥かに劣るわい』
首領は憮然とした顔で否定した。
「フフゥン、だけどアンジェラちゃんも意外と面食いなのねェ」
『ぬううゥッ、面食いではない。ブサイクの分類じゃァ。あんなジャスティンなんか!』
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