ダメになりたい私のお夜食

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 ──すっかり暗くなった住宅街に、コンビニの明かりだけが煌々と輝いています。  まるで、今日を終わらせたくない人間のために用意された"深夜の太陽"です。  自動ドアが開き、店内に足を踏み入れると、まず最初に向かうのはカップ麺コーナーです。  即席麺の利点は、『すぐ出来るのにちゃんと美味い』。これに尽きます。  しょうゆ、塩、みそ……様々な味のカップ麺が並び、つい目移りしてしまいますが、今日の気分は決まっていました。  背脂とんこつ。 『とんこつ』ではありません。『背脂とんこつ』です。  今日の帳尻を合わせるのに必要な要素。それが、『背脂』です。迷わず手に取ります。  それから、カップ麺のお供に欠かせないのが、おにぎりです。  ……いや、食べますよね? カップ麺+米。最強の組み合わせでしょう?  と、一人言い訳をしながら、おにぎりコーナーへと向かいます。  これももう、味は決まっていました。  ツナマヨ。  今日はツナマヨ一択です。  想像してください。  あの、ツナのじゅわっとした脂を。  マヨの酸味とコクを。  美味しいでしょう?  たまりませんよね?  はい、ツナマヨに決まりです。  さて、量としてはこれで十分ですが……私には今、どうしても満たしたい欲求がありました。  それは……"揚げ物欲"。  それを満たしてくれるのが、コンビニのレジ横にあるフライヤーコーナーです。  唐揚げにフランクフルト、ポテトに焼き鳥と、どれも美味しそうですが……  フライドチキン。  その文字列に、私の中の"揚げ物欲"が歓声をあげました。  カリッ、じゅわぁあっ、なあの味わいが、容易に脳内再生されます。あれは一体、何なのでしょう。ヤバいブツが入っていることを疑うレベルで依存性があります。その謎を検証するためにも、購入しないわけにはいきません。  さて、そんなこんなで。  私はレジに向かい、その三点を購入し。  ワクワクした気持ちを抱え、自宅へと戻りました。
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