4#餌やりに浸った野良猫の末路

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 また今日も、例の餌の置いてある公園へ野良猫はウキウキしながら出かけた。  「今度はカリカリかなあ?栄養タップリのあのキャットフードかなあ?」  もう野良猫は、すっかり公園に置かれた餌の虜になっていた。  「あ!あった!あった!あれ?」  野良猫は、餌の置いてある皿の形状が何時もと違う事に気付いた。  「何時もは白い丸い皿なんだけどなあ・・・?  今日は四角い入れ物だ。  まあいいか。それに、何だろ。これ。」  その四角い皿が奥まった場所にある事に気付いたが、野良猫には今は空腹を満たすの方が大事だった。  「あーーー!!早く食いたい!!いっただきまーーーー・・・」  ガシャン!!  「シマッタぁ!!」  野良猫が焦ったのも、もう遅かった。  四角い皿の周りが、草でカムフラージュされた捕獲檻だったのだ。  野良猫は、何者かが仕掛けた捕獲檻の中に囚われてしまったのだ。  「ぼ、僕の落ち度だ!!やっぱり現実はこんなに甘くはなかったんだ!!  騙された僕は馬鹿だった!!」  野良猫は頑丈な檻の中で、パニックになって檻を牙で噛み切ろうも檻は金属なので牙が滑って噛めなかった。    ドンドンドンドン!!    檻に体当りしても、檻はびくともせずにただ野良猫を痣だらけになるだけだった。  「あっ!馬鹿は猫がかかってるかかってる!!ハハッ!!  さて、どの虐待趣味の奴に売り飛ばそうかな?」  この檻は、悪しき虐待趣味専門の猫捕り業者だったのだ。    ガタガタガタガタガタガタっ!!  「うわっ!!暴れるな馬鹿猫!!」  ドサッ!!バタッ!!  猫捕り業者が捕獲檻を地面に落としたとたんに檻の扉が開き、一目散に公園から死に物狂いで逃げ去った。  ざぁーーーーーー・・・  「やっとここまで逃げれば、あの人間に気付かないだろうな。」   野良猫は雨にうたれながら、もう二度と怪しい餌やりには近寄らない事を誓った。  「また僕は腹ペコに逆戻りか・・・」  野良猫は降りしきる雨を見上げながら、何処かにある美味しそうな餌を思った。  そして、野良猫はまた再び餌を求めて街を彷徨った。  野良猫はまだ知る由もなかった。  近いうちに、野良猫は偶然出逢った心優しい人間と出逢って『キト』と名付けられて飼い猫となり、鱈腹餌にありつける幸いを迎える事を・・・    〜腹ペコ野良猫〜  〜fin〜
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