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 私が小学生になったばかりの頃、おばちゃんから教えてもらったことがある。 「おばちゃんもね、小さい頃は妖怪が見えたんだよ」  最初は、私はおばちゃんを信じられなかった。  一緒に暮らし始めたばかりの無愛想な私に歩み寄ろうとして、そんなことを言うのだろうと思っていた。  おばちゃんの言葉が嘘じゃないとわかったのは、小学一年生の冬。白くてフワフワな、光の粒の群れを追いかけて、私が石橋から川に落ちかけたときのことだ。  すんでのところで私の体を引き寄せてくれたおばちゃんの腕の中で、私は、自分の身になにが起きたのかわからず、ぼんやりと、石橋にところどころ積もっている雪を眺めていた。すると、 「白いのが、いたのかい?」  おばちゃんは、蒼白な顔で私に迫った。 「それはね、川に集まった死魂の塊だよ。あんたを川で溺れ死にさせて、仲間にしようとしたのさ」 「わたし、死んじゃうところだったの……?」  初めて死を身近に感じた私は、寒さと底知れない恐怖に襲われた。  おばちゃんは、震える私の肩をぐっと掴んだ。 「死にたくなかったら心を強く持ちな。寂しい人には、寂しいモノが寄ってくる。惑わされてはいけないよ」
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