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8.
第1水曜日の午前6時。
あの桜の木の下でバスが来るのを待つ。
あの真新しい観光バスで1年前、真木さんは憧れの東京を見物してきた。念願叶ったからやっとこの世から旅立つことができたんだ。
バスがやってきた。
彼女は一番後ろに座っていたんだよな。
目をやると、桟に隠れて人影らしきものが…
僕の視線に気づいた少年が僕を見て、ニコッと笑った。
僕は驚きのあまり、思わず会釈をしてしまった。
そうか、君も花見客から入り口を案内してもらったのか。それは良かった。
東京、行ってみたいよなー
思う存分、楽しんでこいよー
僕は心の中でエールを送っていた。
<了>
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