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「逃げ惑う子ども達の中にはあの桜を最期に見たいからって…血だらけになりながら桜並木までたどり着いて、倒れ込んだそうです。そして息を引き取りました」 「そういうことだったんだ…」  少女を思い出した。体をひきずって…あの桜の木の下までやってきた…。桜を見ながら、そして、息絶えた。  なんということだ。  僕は言葉を失った。  セーラー服姿の集合写真があった。  前から2列目に、ちょっと緊張した面持ちの中学生、まぎれもなく、真木冬子さん。  他の子たちはどうなったんだろう…  その後の運命を思うと僕は胸が締め付けられた。血の気も引き、イスに座り込んで茫然とするだけだった。
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