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「セーラー服の中学生が一人で、か…」
修は黙り込んだ。
「真、おまえ、知ってるか?」
修は顔をこわばらせて言った。
「サクラ自動車の工場がある、あの工業団地一帯は、戦時中、軍需工場だった。たくさんの子どもや学生が動員されて働かされたんだ」
「うん、知ってる」
「空爆で壊滅し、多くが死んでしまったこと」
「ああ…」
「あの辺りは今でも子どもの霊が出るので有名だぞ」
「え…」
「おまえが出会ったのは…」
「そんな…まさか…」
僕は頭が真っ白になった。
「…大丈夫だ。悪さはしないから安心しろ」
修は青ざめながら、僕の肩をポンポンと叩いた。
「…いや、そんなはずはない…と思う……とてもいい子だったよ…」
僕はまだ信じられなかった。
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