昭和の僕と令和の君

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「お腹空いてるのか、しょうがないコンビニで何か買う?」 「こんびに?」 「ああ、本郷さんにはわかりづらかったか、食べ物とか売ってるお店。お弁当とか惣菜とか安く買えるから」 「すまない、僕にとっては最適解ではないんだ。そこでお願いがあるんだが、ここの事はよくわからないから教えて欲しい」 本来なら女性に頭を下げると上官からげんこつを喰らうのだが、飛び交う敵性語にいちいち困惑していては、食事にありつくのも難しそうだったので頼む事にした。ここでは僕の時代とは価値基準がかけ離れているらしい。 令和六年といって昭和から半世紀以上進んでいるようで、平成という元号を挟んでいるが、この時代ではここ東京が首都らしい。敵性語を話しても処刑されない、誰もがすまほという通信機器でらいんという暗号会話を無料でするのが当たり前。更にえっくすで投稿された文言を引用したり、りぽすとしたり出来るようだ。大日本帝国のみならず、米や仏、独に露、朝鮮の人たちとも話せるとか。待てよ、それが出来るという事は…… 「えっくす借りて良いか? 米国の大統領に言いたい事がある。何故原爆を投下した? 何故広島を狙った?」 「本郷さん、大統領に聞いても無理ですよ。当時の人じゃないんだし」 「与太話だと思っていたがだうんほーる作戦は本当だったのか、九州地方を米軍の滑走路にするべく原爆を大日本帝国全土に落とし、さりんとか言う猛毒を撒いて上陸すると聞いた事がある。その為には九州より南の県に米軍基地を築く必要があったとも」 「本郷さん、たぶんそれ、炎上すると思いますけど」 「砲撃されるのはまずいな、東京が炎に飲まれるのは藤崎さんにも辛い思いをさせてしまう。原爆でそれはよく知っている。それよりこんびにで何があるか教えてくれ」 「わかりました、そういえばお金はあります?」 「ああ、二千円はあるから買うものには困らないだろう」 「たったの二千円ですか?」 「たったのじゃない、二千円は大金だぞ!」
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