第10話 実は寂しい俺の思い

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第10話 実は寂しい俺の思い

 相田楓に会いたい。会って手を繋いで一緒に散歩したい。今日は天気が良い。誘ってみようかな。今日は日曜日、部活はあるのかな。俺はバイトを行き始めて4日目になる。バイトとは言え、飲み物を運んだりするのが結構キツイ。  楓にメールを送ってみよう。 <こんにちは! 今日は日曜日だけれど部活はあるの?>  暫く経ってからメールは来た。見てみると、やはり楓からだった。 <今日は休みですよ~>  俺は、お! やった! と思った。続けてメールを送った。 <良かったら、今日は天気も良いし、一緒に散歩でもしないか?> <あ、いいですねえ。でも、今日は入院中のおばあちゃんのお見舞いに行くんですよ。なので、難しいですね。また、今度誘って下さいね!>  なーんだ。折角の日曜日だというのに。なかなか思った通りにいかないな。 <わかった、また今度な>  俺は腹がたってきた。家の部屋の壁を思いっきり殴った。すると、穴が空いてしまった。あちゃー! 父さんに怒られるー! まあ、いい。カレンダーで隠しておこう。いずれバレるだろうけど。仕方ない、俺がしでかしたことだ。バレたら謝る。  午後から自主練でもしようかな。今日はバイトも部活もないから。町の体育館に行ってシュート練習や走り込みをしている。それを疲れるまでやる。全力で。呼吸がゼーゼー言って床に倒れこんだ。少し休んだら帰ろう。汗だくだからシャワーも浴びたいし。  気付いたら眠っていた。寒い! スマホを見ると1時間くらい寝ていたようだ。その時、くしゃみが2発出た。風邪を引く、と思い起き上がった。そして急いで帰宅した。  その日の夜。俺は熱を出した。測ってみると39.2℃だ。これはやばい! きっと、体育館で寝てたせいだ。寒かったから。母に言って解熱剤と風邪薬を買ってくるよう頼んだ。母は、 「何やってんのさ、明日、学校にいけないかもしれないじゃない!」 「あー! わかったわかった!」 五月蠅(うるさ)く言われたので母を部屋から追い出した。 「母さん、買い物頼むよ」 「分かったよ! 全く!」  翌日ーー。  母が言ったように熱は下がらず学校を休む事になった。失敗した。実のところを言うと俺は寂しかったのだ。楓にも断られ、遊ぶ友達もいなくて。桑田はバイトだし。仕方ない、ゆっくり休もう。早く治さないと、いつまで経っても学校にいけない。楓にも会えないし。そう思いながらベッドに横になった。
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