第12話 デートの約束と謝罪

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第12話 デートの約束と謝罪

 部活から帰宅して、俺は相田楓にメールを送った。 <こんばんは! 部活お疲れ様。僕ね、部活に無い日にバイトをしているんだ。だから給料が出たら僕の奢りで食事に行かない?> <お疲れさまです。え? 奢りですか。悪いですよ、そんなの> <大丈夫だよ、話したい事もあるし。遠慮しないで> <本当にいいんですか? まあ、話したい事があるなら聞きに行きます> <給料日は毎月5日に出るんだわ。だから、来月の5日以降にお互い都合の良い日に行こう> <わかりました。楽しみにしてますね> <何食べるかは、給料日前になったら決めよう> <はい> <明日も部活頑張ろうな> <はい!>  メールを終えて、俺は入浴しに下着とスウェットとバスタオルとフェイスタオルを持って浴室に向かった。今日も部活で汗を沢山かいた。綺麗にしないと。汗臭かったら友人達に嫌われてしまう。それは避けたい。だから、毎日、入浴している。  次の日の放課後、原田さんは部活に来なかった。俺のせいか。きつい言い方をしたからか。  その事が気になったので部活が終えた後、楓にメールした。 <訊きたい事があるんだけど、原田さんに好かれているみたいで、皆の前で大きな声で応援するのはやめてほしい、勘違いする人もいるかもしれないから、と送ったのさ。きつかったかな?> <あ、それはきついと思います> <やっぱりそうかぁ……>  でも、その後は好きな人がいるんだ、とは言わなかった。 <勘違いする人っていうのは、鮫島さんのことが好きだということですか?> <そうだね>  それから暫くの間、メールは来なかった。何故だろう?  1時間くらい経過してからようやく楓からメールが来た。 <こういっちゃあ何ですけれど、自惚れてますか?(笑)>  きつい1文だと思った。 <そうなのかなあ、そういう気持ちはないんだけどなぁ> <冗談です。わたしは鮫島さんはそういう人だとは思っていません> <よかったー、誤解されていなくて> <大丈夫です> <楓は頭が良くて、可愛いよね> <どうしたんですか? 突然> <いや、そう思っているから、そうメールを送ったのさ> <恥ずかしいですよ>  彼女は赤面している。そういうところも可愛らしい。  それにしても、来月の給料日まで待つなんて待ちきれない。親に借りようかな。でも、それじゃあ、楓は良い顔をしないかもしれない。借りてまで行くなんて。やっぱり、給料を貰って自分のお金で行った方が良さそうだ。今日で何日働いただろう? 数えてないから分からない。数えるのも面倒だし。確か3月20日くらいからバイトを始めたはず。毎日働く訳じゃないからそんなに大金と言えるほどの給料ではないと思う。それでも良いと思っている。バスケもしたいし。  それと原田さんの事はどうしよう。楓に再度相談のメールを送ろう。 <原田さんの件だけど、どうしたら良いと思う?>  少ししてメールが来た。 <謝った方がいいと思いますよ> <やっぱりそうかぁ……、何て謝ろう?>  暫くしてから返信メールは来た。 <言い過ぎたとか、ですかねえ> <メールでもいいよな?>  また暫く来ない。そして約1時間後、 <本当なら会って謝った方が良いと思いますけど、どうしても抵抗があるならメールでも仕方ないと思いますよ>  楓はしっかりした子だ、と思った。益々、俺は彼女を好きになった。 <わかった、ありがとう! 原田さんにメールしておくわ。今回は助けてくれてありがとう!> <いえいえ、わたしは何もしていませんよ>  俺は原田さんにメールを送った。本文はというと、 <こんにちは、この前は酷い事言ってごめんね>  だいぶ経ってから、原田さんからメールがきた。 <いやあ、気にしてないよ。悪いのは私だから。だから、謝らないで>  この文面を見て僕の気持ちは晴れた。楓に相談して良かった。でも、後輩に相談したのは、ちょっと情けなかったかな。まあ、いいか。  
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