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第13話 告白
バイトを始めて約1週間が経過する。明日は給料日。だから何が食べたいか楓にメールを送った。
<こんばんは。明日は待ちに待った給料日! 何が食べたい?>
入浴でもしていたのか、メールが来るまで1時間くらいかかった。
<こんばんはー! そうねえ、ラーメンが食べたいな!>
僕はすぐにメールを返した。
<いいねえ、ラーメン! 僕の行ったことのある店でも良い?>
楓もすぐにメールをくれた。
<うん! いいよ!>
<ありがとう! 明日が楽しみだ!>
<そうね!>
翌日、学校を終えて、僕は銀行のATMに自転車で向かった。楓も一緒について来てくれた。5日の給料日の人が多いのか、ATMは混雑していた。時刻は午後4時頃。夕食はいらないと母に言うのを忘れていた。楓にも訊いてみると、既に夕食は断ってあるらしい。流石だ。ちゃんと覚えてくれている。嬉しい。僕はその場で母に電話をして夕食を断った。
僕の口座は、事前にバイトをすることになっていたので、新しく作った。暫く待って1万円下して銀行から出た。楓に声を掛けた。夕食にはまだ早いからその前にカラオケに行こうと誘った。すると彼女は、
「うん、いいよ」
と答えてくれた。楓の歌声はまだ聴いた事がないので楽しみだ。楓も僕の歌声は聴いた事がないはず。僕はある事を決意した。それは告白だ。僕の胸は高鳴っている。緊張もしている。自転車を僕が前で、その後ろに楓が走っている。10分程走り、到着した。僕は先に自転車から降りたので、ちょっとだけ楓が降りるのを待って、入り口のドアを開けて楓を先に入って貰った。レディーファーストというやつだ。ドアはガラスだ。僕は受付でカードを店員に渡し、伝票の入ったカゴを渡された。歌う時間は2時間にした。
そして、1時間半くらい歌って僕は言った。
「楓」
「うん? 何?」
「訊いて欲しい事があるんだ」
「うん」
「僕は……僕は楓の事が……す、すきなんだ。だから付き合ってくれないか?」
「……えっ、本気で言ってる?」
「勿論だよ」
「急だなぁ、ちょっと考えさせて?」
「うん、それは構わないよ。後で返事聞かせて?」
「うん、わかった」
こうして、僕はとうとう告白した。心臓の鼓動が早くなっている。良い結果だといいけれど。
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