第5話 友人探し

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第5話 友人探し

 桑田健司はスーパーマーケットで学校が終わったら20時までアルバイトをしている。僕も彼と同じところで働きたい。相田楓とデートをするための資金作りのために。  今は学校にいて、お昼休み。俺は隣のクラスにいる桑田のところに行った。でも、彼はいなかった。どこへ行ったのだろう。そこのクラスの女子生徒に訊いてみた。 「桑田どこに行ったか知ってる?」 「多分、外でサッカーしてると思う」 「そっか、わかった。ありがとう」  今、話している女子生徒はたまに話す子で朝倉恵(あさくらめぐみ)という。 「どうしたの?」 「いや、ちょっと桑田に用事があってさ」 「そうなんだ、帰りでもいいや」  そう言って俺は自分のクラスに戻った。  恵は僕のクラスに来た。どうしたのだろうと思い、彼女の方を振り向いた。 「桑田くん、呼んできてあげようか?」 「え? いいのか? 悪いだろ」 「私はいいけど、桑田くんが戻ってくるかわかんない。急いでいるの?」 「いや、急いでないよ。帰りにまた来るから大丈夫さ。ありがとな」 「ううん」  恵はとぼとぼと残念そうに歩いて戻った。何で残念なのだろう。よくわからない。  帰る時間になり、教室の掃除を済ませてから、隣のクラスに再度行った。恵がいたので声をかけた。 「桑田は?」 「今、掃除してるよ」  恵は彼の方を指さした。 「あ、いた! サンキュ」 「いや」 「桑田!!」  教室の中はガヤガヤしていて、俺は大きな声で呼んだ。  それでも聞こえないらしく、傍まで行って声をかけた。すると、 「おお、鮫島(さめじま)!」 「ちょっと、頼みがあって来たんだ」 「頼み? もう少しで掃除終わるからまっててくれ」 「わかった」
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