第9話 悪戯な笑み

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第9話 悪戯な笑み

 俺は今日も告られた。相手は高校3年生。俺は2年生なので先輩だ。しかもその女子はバスケ部。僕もバスケ部なのでここでふったら気まずいかもしれない。でも、俺はやっぱり相田楓のことが好きだから、お断りした。先輩はチッと舌打ちをした。ヤバいなぁと思ったけれど、好きじゃない女子と付き合うわけにいかない。俺は楓一筋。  バイトの面接は今日。同級生の桑田健司と一緒に行く予定。履歴書も彼のお陰で完成した。友達は大切だと改めて思った。桑田の勤務時間は16時からだから、一緒についていくことになっている。今日は天気が良い。今は4月、春だ。だいぶ暖かくなってきた。自転車でスーパーマーケットに向かう途中、つくしを見付けた。かわいい。同級生の中には、季節の変わり目なので調子を崩している生徒もいる。俺は暖かく気持ちが良いと思うから、調子は崩していない。15時50分頃、スーパーマーケットに着いた。そして桑田は言った。 「店長呼んでやるよ」 「ああ、悪い」 「ついてきてくれ」  事務所は2階にあるので螺旋階段(らせんかいだん)を昇ってそこに行った。事務所にはオレンジ色のジャンパーを着た恰幅の良い男性がパソコンで仕事をしていた。桑田が声をかけた。 「店長!」 「おお、桑田君。お疲れ」 「お疲れ様です。友達連れてきました」  俺は店長に頭を下げて挨拶をした。 「初めまして。鮫島順平といいます」  店長は笑顔で愛想の良さそうな男性だ。 「ここは事務所だから、別室に移ろう」 「はい」 「あ、桑田君は仕事に取りかかってていいぞ」 「わかりました。では、よろしくお願いします」  面接は20分くらいで終わった。即採用となった。 「部活のない日に来ます」  と話したら、 「ああ、いいよ。いつからだ?」 「明日です」 「じゃあ、明日の16時からでいいか?」 「はい!」 「わかった、じゃあ、よろしくな!」 「こちらこそよろしくお願いします」  俺は嬉しくて店長に、 「失礼します、よろしくお願いします!」  と言って桑田のいる売り場に向かった。彼を飲み物のコーナーで見付けた。  そして、 「おい、桑田! 採用されたぞ!」 「お! そうなのか。それは良かったな。頑張れよ!」 「ああ、よろしくな!」 「こき使ってやるから」  桑田は悪戯な笑みを浮かべて言った。 「お手柔らかに頼むな」  俺も笑いながら話した。  さて、勉強、部活、バイト、この3つを頑張るか! 桑田もできているんだから、俺に出来ない訳がない。と、珍しく強気な俺。  
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