眠れぬ夜の処方箋

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――あぁ、そうか。私、寂しかったんだ。 少しでもかわいい格好で会いたいから一生懸命おしゃれして、お化粧をして。 それなのに自分が置いてけぼりにされたみたいで。 大人のふりをして、心を閉じて分かったふりをして。 燻ぶって消化しきれてなかったあの時の感情が、やっと腑に落ちた。 「ヤマさん、ありがとう」 『へ? どうしたん、急に』 「これで寝れそうな気がする」 『それなら良かったわ。女の子なんやから、あんまり夜更かしするとお肌に悪いで』 「はーい」 ありがたいことに女子扱いしてくれるらしい。 『じゃあ、おやすみ。もし寝れへんかったらまたメッセージ送って。まだ起きてるから』 「うん。たぶん大丈夫だと思うけど、おやすみなさい」 『おやすみ』 受話器マークをタップすると、ぷつりと通話が切れた。自然とあくびが出て、白い息が部屋に浮かぶ。 イヤホンを抜いて瞼を閉じたらまた羊がトコトコと出てきたものの、今度は柵を越える前に引き返していった。
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