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ショウタ君が出ていってから数分後、会議室のドアをノックしてイチロウ君が入って来ました。泣いているショウタ君を見たからか、酷く怯えています。
「先生は悲しいです。どうして悲しいのか分かりますか?」
「……いいえ」
イチロウ君が消え入りそうな声で答えました。
「あなたがケンヂ君をいじめていたからです」
「そ、そんなこと――」
「黙って聞きなさいっ」
シズコ先生がピシャリと言いました。気弱なイチロウ君はもう恐くてシズコ先生を直視出来ません。
「先程ショウタ君がケンヂ君をいじめていたと白状しました。そして、その場にはあなたも居たと、他の生徒達からの聞き取りで知っています」
「ぼ、ボクはいじめてなんか……」
「そうですね、確かにあなたは直接手を下してはいないのでしょう。しかし、ケンヂ君が暴力を受けているのをただ見ていましたね。それは立派ないじめです。犯罪です」
イチロウ君は肩を震わせてとうとう泣き出しました。
「あ、あれはプロレスごっこで遊んでただけで……」
「ショウタ君はあれがいじめだったと認めました。あなたはいじめられるケンヂ君を嘲笑って傍観していた。可哀想に。ケンヂ君が一体どれだけ深く傷付いた事でしょう」
イチロウ君は声を上げて泣きながら、ごめんなさい、ごめんなさいと何度も謝りました。
「先生に謝ったってどうにもなりません。もう行きなさい」
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