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「……何が言いたいの」  詰めを誤った。シズコ先生の心の呟きが聞こえました。 「私とケンヂは保育園からの幼馴染です。物心つく前から一緒に居ました。家が隣同士ということもあって登下校も一緒にしていました。でも、ケンヂがいじめを受けているだなんて私は一度も聞いた事がありません」  クソガキが。 「あなたが本当は信頼されていなかったからじゃないかしら」  シズコ先生の呼吸が徐々に荒くなり、額に汗が光りました。ミサトは刺すような鋭い視線をシズコ先生に向けて続けました。 「信頼し合っていましたよ。証拠に、私たちは互いに悩みがあれば相談し合っていました。最近だと、そうですね、こんな相談を受けました」  シズコ先生の鼓動が激しくなっていきます。握った両拳からは、長い爪が皮膚を破いて血が滲んでいました。 「ある人から言い寄られてる、って。断っても粘着されて、携帯に毎晩メールが送られてくるって。その人は二回りも歳上だったらしいけど、先生、心当たり……ありませんか?」 「……何の事かしら」 「とぼけないでください。ケンヂは身の危険さえ感じていました。トイレを盗撮した画像や、想いを受け入れないなら殺してやるってメールと一緒に刃物の写真が送られてきたとも――ッ」  シズコ先生がミサトに飛び掛かりました。右腕でミサトの首を羽交い締めにし、手のひらで口を押さえたのです。
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